第十七話「決意を胸に」
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「な、なんでもないわ……!」と頭を振った。
「まあ、そう身構えなくてもいいと思うよ。なにせこの僕がいるし。それにイッセーもいるしね」
「……そうね。私にはレイやイッセーが、みんながいるものね」
少しだけ元気が出たのか、笑顔に力が戻った様子。
「そうそう。今のイッセーはあの調子だけど、あれはすぐにでも化けるよ。リアスちゃんも分かってるからあんな修業を課してるでしょ? まあ、気付かぬのは本人ばかりだけど、ね」
何気なくキッチンの方に目を向ける。姿は見えないけれど、気配からそこにいるのは知っている。
「今は実戦経験やら下地やらで皆の足元にも及ばないけど、今にも追い抜くよ、イッセーは」
「その意見には大いに賛成だけど、なんでそう言い切れるの?」
純粋な疑問。大丈夫だと断言する僕に首を傾げるリアスちゃん。
「……だって、僕の一番の友達だもの!」
だからイッセー、早くここまでおいで。
† † †
「――」
部長とレイが立ち去ってからというもの、俺はしばらくそこを動けないでいた。
部長の突然の告白。あの人がそんな夢を胸にしていただなんて知らなかった。
不死に等しいライザーを相手に少しでも勝算を見いだそうとこんな遅くまで勉強して、自分の夢を守り貫こうとしている。
ライザーの『今のお前ではその力は宝の持ち腐れだ』の一言。あの時はなにを! って思ったけど、今は身に染みて思う。あのライザーの言葉は正しいんだって。
悔しくて、悔しくて、こんな非力な自分が情けなくて。
――俺には戦いの才能がない。
それがよく分かった。
意気消沈していた俺の耳にその言葉が入ってきたのは、そんな時だった。
『今のイッセーはあの調子だけど、あれはすぐにでも化けるよ。今は実戦経験やら下地やらで皆の足元にも及ばないけど、今にも追い抜くよ、イッセーは』
レイたちは俺がここにいたことを知らないはずだから、あれは紛れもなく本心からの言葉。
そして、なにより心に響いたのが、
『……だって、僕の一番の友達だもの!』
この一言だった。
気が付けばポロポロと涙を溢していた。みっともなく鼻水も出して。
嬉しかった、ただただ嬉しかったんだ。
こんな弱い俺に期待してくれていて、一番の友達だって言って信じてくれる。それがなによりも嬉しかった。
そして、同時に自分自身を不甲斐なく感じた。アイツは――いや、皆
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