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好き勝手に生きる!
第十七話「決意を胸に」
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「ちょっとレイ?」


 リアスちゃんの話をぶった切った僕は頭にプロペラを生やして宙に浮かび、窓に近寄る。曇り一つない夜空には蒼月と呼ぶに相応しい満月が浮かんでいた。


「やっぱり月はいいねぇ……いつの時代も、いつの世界も、こんなにきれいに輝いてるもん」


 月を見上げながら独白する僕。今夜の僕はセンチメンタルです。


 リアスちゃんからすれば突然の奇行に走る僕だが、そこはもう慣れたのか溜め息一つですませた。


「……まったく、レイはどこまでいってもレイなのね」


 なにを当然のことを。僕は姫咲レイ、それ以上でもそれ以下でもないのですよ。


「リアスちゃんはどうして焼き鳥くんのことを嫌っている――というより、縁談を拒否してんの?」


「……私は『グレモリー』なのよ。あくまでもグレモリー家の者であり、どこまでもその名が付き纏うの」


 僕の問いにリアスちゃんが嘆息して応える。


「別に嫌なんじゃない。むしろグレモリーであることに誇りを持っているわ。けどね、私個人を押し殺していることでもあるの。誰しもが私をグレモリーのリアスとして見て、リアス個人としては見ない」


 遠い目をして語るリアスちゃん。今にも消え入りそうに儚い印象を受けた。


「私はねレイ、私をリアスとして見てくれる人と一緒にいたいのよ。グレモリーを抜きにして私個人を愛してくれる人と。それが私の小さな夢なの。……ライザーは残念だけど、私をグレモリーのリアスとしてしか見てくれていないわ。それが嫌なの。バカバカしいと思われようと、この小さな夢をずっと持っていたいわ」


 なるほどなるほど、リアスちゃんは『リアス・グレモリー』としてでなく『リアス』として異性に好かれたいのね。でもお家騒動のこともありそうも言っていられないと。


 うーん、こういうときにどう声をかけたらいいんだろう? ……まあいいか。僕は僕の言葉で伝えよう。今も昔もこれからも、ね。


「僕はリアスちゃんのこと嫌いじゃないよ?」


「えっ?」


 プロペラを消して重力に身を任せる。丁度リアスちゃんのお膝の上にぽふんっと着地した僕は、にぱっと笑い掛けた。


「好きじゃないけど嫌いじゃない。いや……んー、どっちかていうと好きな方に傾きかけてるのかな? まあいいや。僕はぶっちゃけ悪魔社会やリアスちゃんのお家のことなんてどーでもいいもん。リアスちゃんはリアスちゃん。ここにいるのはちょっぴり臆病な、ただの女の子だよ」


 僕は胸にあった気持ちをすべて笑顔で伝えた。って、あれ? どったのリアスちゃん。そんなに顔を赤くして。


「お顔が赤いよ?」


 怪訝に思い訊くと部長は慌てたように
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