第十七話「決意を胸に」
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ところがあってね。丁度よかったわ、少しお話ししましょう」
ティーライトキャンドルがテーブルの上で淡い光を灯している。赤いネグリジェを着て髪を一つにまとめたリアスちゃんはメガネを付けていた。
「あれ、リアスちゃんってメガネ娘?」
「メガネ娘って……これを付けると考えが回るの、いわば気分的なものね。ふふ、私も結構人間界の暮らしに定着してきたかしら」
くすくす笑うリアスちゃん。メガネ姿も案外、知的に見えるものだね。ここにイッセーがいたら「ネグリジェ姿、最高です!」なんて騒ぐんだろうな。
テーブルの上には地図と何やら色々な駒が置かれていた。その横にはこと細かくフォーメーションが書かれたメモ用紙が散らばっている。
「……正直、こんなのを読んでいても気休め程度にしかならないけどね」
ため息をつきながら戦術が掛かれたノートを閉じるリアスちゃん。いつもは自信に溢れて如何にも私に不可能なことは無いと言いたげな顔をしているのに、今は覇気が失せていた。
「どーして?」
「他の上級悪魔ならいざ知らず、相手がライザーだもの。というよりフェニックスが相手なのが一番の問題なのよ。彼らの特性はすべてを燃やす炎と不死ですもの」
「へーへーへー。三へーが入りました! 不死でしかもフェニックスの名を冠してるってことはアリスちゃんに縁があるのかな? まあいいや。それって無理ゲーじゃない? ふつーは」
「ええ、ほとんど反則ね。攻撃を受けてもすぐに再生して傷すら残らない。さらにその炎は一撃で塵も残さない威力を秘めているわ。彼のレーティングゲームの戦績は八勝二敗。しかもこの二敗も懇意にしている家系への配慮でわざと負けた結果で、実質は無敗よ。すでに公式タイトルで奪取するほどの実力者になっているわ」
あの焼き鳥くんってそんなに強いのかなぁ……? いかにも噛ませ犬って感じでゲームなら序盤の中ボスキャラに相当すると思うんだけど。
「でも、ライザーを倒せないこともないのよ?」
夢物語のような話だけどね、と弱々しい笑みを浮かべながら続けるリアスちゃん。
「考えられる方法は二つ。一つは圧倒的な力で押し通るか、何度も何度も倒して相手の精神を先に潰すか。前者は神クラスの力が必要、後者はライザーの精神が尽きるまでのスタミナが必要。身体が不死身でも心まではその限りではないわ。倒れる度に確実に精神を疲弊させるはず。今の私たちには前者の圧倒的な火力はないから後者に頼るしかないでしょうね」
「ふーん……あっ、ここから月が見える!」
天井に嵌められたガラス窓から真ん丸いお月様の姿が確認できた。そういえば僕、月を見に来たんだった!
「ぶーん」
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