第十七話「決意を胸に」
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業をすればするほど、お互いの差を大きく感じてしまった。
俺なんかとは比べ物にならない程の身体能力。生まれ持った才能と死にもの狂いによる特訓で得たであろう剣術。そのどれもが俺にはない。いったいどれだけ修行すれば木場と並ぶことが出来るのだろうか。一年後? 十年後? 百年後? もしかしたら一生届かないかもしれない。
……レイも凄い。いつもおちゃらけているのに、ここにいる誰よりも強いのではないかと思う。レイの力は未だに未知であり、その全貌が全く明らかにされていない。そのうえ、『戦車』になったことでさらに腕力も防御力も上がった。十五歳と俺より年下なのに、その背は見えない程遠くにある。
隣の部屋で寝ているアーシアに思いを馳せる。
アーシアも凄い。特にその成長速度は目を見張るものがあるって部長も言っていた。魔力の修業では雷や炎、水なんかも小規模ながら扱えるようになってきていた。俺は未だ、豆粒サイズの魔力しか作りだせない。
――くそっ、俺はなんて……っ。
居た堪れなくなり、思わずベッドから飛び起きた。そのまま、木場たちを起こさないように静かに部屋を出る。
キッチンに向かい水を一杯の飲んでいると時だった。リビングの方から話し声が聞こえたのは。
† † †
夜、なんとなく月が見たくなった僕はリビングに降りた。
あれから僕たちはお山に籠って修業をした。木場くんと剣の稽古をしたり、小猫ちゃんと組み手をしたり、お姉ちゃんと一緒に料理を作ったり、アーシアちゃんとお喋りしたり、リアスちゃんとチェスで遊んだり、イッセーを苛めたり、色々な思い出が出来た。
今までヒトと深く関わったことがあまりない僕にとって誰かと過ごす日々は楽しくて、面白くて、胸がワクワクした。深夜に男子同士で『女の子のこんなところが好き』なんて話をした時は胸がドキドキした。
今回のゲームはただ面白そうという理由だけで参加したけれど、今はみんなのためにも勝ちたいと思っている。そんなことを考える自分に驚いたけれど、それ以上に嬉しく感じた。幾星霜の時を生きてきた僕にとって不変は退屈以外のなにものでもない。永い間、ずっと心理的、内面的変化が無かった僕にはこの『変化』はとても喜ばしいことだ。
――僕にこんな『変化』を与えてくれたみんなのためにも、絶対に勝つ。
「あら、起きたの?」
リビングに降りるとリアスちゃんの声が聞こえた。見ればテーブルに座って何かを読んでいる。女性誌かな?
「どったの? 良い子はおねむの時間だじぇ?」
「ちょっと思う
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