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巫哉

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でもして、覗いてるかのような現実感。



「日紅朝よー」



 なんとも緊張感のない声がどこからか聞こえる。



 お姉ちゃんだ。朝なのだ。起きなきゃ、でも。



 目の前にはむすりとした『彼』が小さい日紅を抱えたまま、家に向かっている。



 巫哉。



 あたしは巫哉の言うとおり、本当の名を知ったよ。



 これで、全部、上手くいくんだよね?もとに、戻れるんだよね。仲が良かった、あたしたちに。



 夢が遠ざかる。無邪気で幼い日紅の笑顔と、『彼』が風景と共に急速に白み滲んでいく。



 この、理由のない不安も、みんな…。
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