タチ悪ィ
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あ、死んだ?
自分を包む光に、そんな事を考えた。
だが、次の瞬間、赤色のHPバーがグッと右端へー完全回復した
麻痺も消えている。
驚いて顔をあげると、黒ローブがポリゴン隗になった所だった。
一連の出来事を起こしたのは、ナギサ。
立ち上がろうとする俺に、彼女は手を差し伸べてくる。
なぜ?とは思うが、彼女の顔は肩まである黒髪に隠れて見えない。
結局好意に甘えて立ち上がった俺に、彼女は言う。
「安心したよ」
「はい?」
何が?と聞き返す前に笑いかけてくる。
「だって、ちゃんと生きようとしてたもん」
顔を背けて言う
「誰があんな無意味な死に方してやるかよ」
微笑むナギサの目尻に、ちょっとした水滴がついていたからだ。
「もう、死んでも良いなんて言わないよね」
「知るか。意味のある死に方ならいつでも大歓迎だ」
ここまできて、やっとこれがタチの悪いドッキリだと気づいた俺。
「てか、俺が生きようとしなかったらどうしたんだよ」
「その時はその時だよ」
生きようとするのは分かってたしね。
そう続けるナギサに、変な期待すんなよ、と言い捨て、歩き出す。
「意味のある死に方、か」
本気で探すか。
心の中でそう付け加えた。
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