第十六話
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い水や茶のようなもので口をゆすぐくらいなもので、その水だってそこそこ貴重なものだから毎食必ず行わずに惜しむ人は多いらしい。
彼女の寝ぐせが気になったので道具箱の中からさらに小さな箱を出し、その中にしまっておいた櫛を取り出すと彼女に使うよう促した。
「王子って実は姫さまかい? こいつぁ綺麗なもんだ、使わせてもらうよ」
俺が渡した半月状の櫛を受け取ると、彼女はふんふん〜♪と鼻歌を口ずさんで梳りはじめた。
「殿下、そりゃ王妃様の形見でしょう?いいんですかい?」
レンナートさんが珍しく俺のやることに意見した。
「差し上げた訳じゃ無いので、整ったら返していただきますよ。あの意味のつもりじゃないのですが
ご心配おかけしました」
国を出る時に父上から渡されたのが王妃の遺品たる今の櫛で、俺が娶りたいよき姫君が居たら渡してやれと言われていたからだ。
そのやりとりを聞いてレイニーさんはすぐに櫛を返してきたので、整い終わってない部分を俺は梳ってあげた。
この日以来、彼女は週に何度か俺たちのところに泊っていくようになった。
目的は風呂なんですよねー。
薬草畑の為ということで水の配給がいい俺達は2日ぶんとかの水をためてわかし、超大きなタライにお湯を入れて浸かる。
残り湯の半分を翌朝、植物に撒いてやる。
そんな生活をしているのを知ったようで、そのご相伴に預かろうというわけだ。
「なぁ、ここじゃ手狭すぎやしないかい? 収穫できそうなのなんて全然見あたりゃしないよ?」
レイニーさんは薬草畑の様子を見てそう口にした。
「そうは言っても、立場上引っ越すわけにも行きませんからね」
「引っ越す……、ねぇ。アタシに任せてもらおうか」
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