第十六話
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トラキア国王の"古傷"の苦しみをやわらげた俺はトラキア城や城下町に自由に出入りする権利を与えられた。
もちろん関係者以外お断りなどの場所は許されないしトラキア側で護衛と言う名の監視役を付けた上ですけれどね。
初めのうち護衛の人は日替わりで3人編成だったけれどそのうちとある一人に固定された。
その分なのか、おさんどんの人が一人増えてレンナートさんは楽になったようだ。
俺はあんまり危険では無いと思われたんだと思いたい。
北部も南部もトラキア人は髪の色が茶色や濃い茶色の人が多い。
俺を含め黒髪の人は少数派であるのは疑い無いがそこそこ存在する。
俺の監視に固定されたその人物は夜空のような黒髪をした、長身で、鋭い雰囲気を身にまとった女性であり、レイニーという名前だった。
「アタシの親は雨乞いでもしてたんじゃないかい?」
自分の名前について彼女はそう語っていた。
暇な時にはお互い身の上を語ったりもしたのだが、彼女はトラキア王家の分家の分家のさらに縁戚で、家族に聖痕持ちが一人出たけれど自分は出なかったということを教えてくれた。
西のミレトスやペルルークなどの自由都市へ傭兵として出稼ぎに行っていたが、たいした戦も無いので暇を出されて帰ってきたとのことだ。
「どっちにしろアタシの性に合うのはつるぎだからダインの血が出ようが出まいが関係ないさ」
そう言う彼女は長大な両手剣を軽々と扱う。
不意に俺が出かけたいと言いだした時の為に彼女は朝から暗くなるまで俺の暮らす東屋に滞在するのだが、俺の手が空いて暇な時には手合わせしてくれたりもする。
そういう時は王宮の練習場で練習用の武具を貸し出してくれた。
刀で槍と戦うには3倍の技量差が必要と言われる、ゲーム上でのこの世界ではそこまでの差はなく、むしろアイテムデータに守られて物理攻撃の面だが、剣は実質的に大きなペナルティが無く、しわよせが槍と斧に向かってはいるのだが……
話を戻して、レイニーと俺が手合わせすると割と話にならないくらい彼女のほうが強い。
俺が槍で彼女が剣という俺の有利な条件でさえそうなので、俺はいつか使うかも知れないと思い彼女に剣を習うことにした。
つるぎが性に合うなんて言うだけあって剣を教えるのも好きなようで、そして巧みだ。
「王子の槍の腕はそこそこいいけど、別の種類の武器との対戦経験が少ないみたいだねぇ。まぁ、自分で剣振ってみることで剣士の狙いとかがわかるようになるって面もあるし、いいと思うよ。それにあと5年もすりゃ体もガシッとするだろうし、このままみっちり修練積むといいさ。そしたらアタシもかなわないかもね」
確かに彼女の言う通りレンスターではほとんど槍同士での訓練だった。
かつてゆうしゃユーキとかやってたころは剣とか使ってたけど剣術みたいなのは習
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