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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
第百四十八話 こけら落としの日
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地球の陰謀により、国内もみだれているのだから尚更よ」

叛徒を自由惑星同盟と呼ぶテレーゼに驚くケスラー。
「殿下、非公式でもそれは……」

「ケスラー、真実に目を背けるのは判るけど、あれは帝国の辺境部の叛乱などでは無いわよ。国と国との生存を懸けた殺し合いなのよ。尤も帝国も同盟も建国の理念が既に忘れ去られている状態のようだけどね。帝国ではルドルフ大帝が期待を込め作った貴族が、すっかり理念を忘れて好き勝手に政治を壟断し、国を富ますことも、護る事もせずに遊びほうけている。

同盟は、アーレ・ハイネセンの理想を忘れ、政治屋共と軍需産業の癒着により、票の欲しい政治屋が選挙の度に無謀なイゼルローン要塞攻撃を行い30万以上の人命を損ねている。そして国民の義務だと言いながら市民を徴兵し死地に送り込むが、為政者やその家族は遠い首都星に隠れて叱咤激励するだけ」

「殿下それは」
「つまりは、帝国同盟ともにドラステックな体制の一新時期に来ている訳よ。まあ、民主共和制を標榜する同盟ではまず無理だろうけどね。帝国であれば、幾らでも行う可能性が出てくる訳なのよ」

そう言いながら、テレーゼが悪戯小僧な様な顔をしはじめる。
「ケスラー、お父様が、何故あの男を優遇したか判るでしょ」
ケスラーもフリードリヒ四世とグリンメルスハウゼンから聞き及んでいたためテレーゼに言葉に是と答える。

「はい、陛下より聞き及んでおります」
「衰退し、崩れ落ちる帝国をお父様ご自身では救えないならば、ゴールデンバウム王朝は華麗に滅び、新たな帝国をあの男に作らせる事がお父様の生き甲斐になっていた」

「しかし殿下の御才覚をお知りになった陛下は、その事をお止めに成りました」

「そうね、その結果、あの男は道化になった。お父様と私の掌で踊り続ける黄金のお人形。彼自身は戦争に強ければ皇帝になれると思っているのだろうけど、経済や他人を思いやる気持ちが無ければ、真の皇帝には即位できないわよ。武力による軍事皇帝は一刻は帝位についても、ローマ帝国の例ではないけど、部下の叛乱で潰えている者の多いこと。

それを防ぐには、帝位を簒奪後に功臣を粛正しまくる事とルドルフ大帝や後継者のように反対勢力を大量虐殺するしか無いのよね。けど彼の性格からしてそれは出来ない、従って内憂で新帝国は嘗ての秦王朝の様にズタボロになり、何れは内乱か外憂で滅びるわね」

ケスラーが驚くの顔をしながらテレーゼを見ている。
尤もテレーゼは原作知識というチートがあるから言えるだけなのだが、そんな事を知らないケスラーは唯々、驚くしかなかった。

「殿下、其処まで御洞察なさっているのにも係わらず、何故シェーンバルト男爵を野放しにしておいでなのですか?確かに利用価値があるからと言う理由はお判りしますが、あまりに危険す
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