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剣の丘に花は咲く 
第六章 贖罪の炎赤石
第六話 学院に伸ばされる手
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さず言い放つキュルケに、コルベールは顔を俯かせながら小さくなっていく。
 黙り込んでしまったコルベールを無視し、アニエスたちは作戦を確かめ合い始めた。
 そんな中、新たな声が放り込まれる。

「わたしもミスタ・コルベールに賛成ですわ」
「っ!?」

 唐突に掛けられた声に、壁の陰に隠れていた全員の視線が声が聞こえた方向に向けられる。手に持つそれぞれの武器の先も視線に合わせていた。

「誰だっ!」

 アニエスの誰何の声に従うように、闇の奥から一つの影が現れた。

「っ! あなたは――」
「作戦の内容は聞こえました。確かに有効な手です。しかしそれは並の傭兵が相手ならばです」

 影から出て来た影は、長い緑色の髪を夜風に靡かせながらアニエスたちの前まで歩いていくと、鋭い視線を傭兵たちが立てこもる食堂に向けた。

「『白炎』のメンヌヴィル相手では、まず間違いなく失敗します」
「っ!!?」
「ミス・ロングビル。あなたも無事だったんですね。って、それより何ですかその『白炎』のメンヌヴィルって?」

 影の中から現れたロングビルに気を取られ、誰もがロングビルが口にした言葉に意識を向けたものはいなかった。ただ一人。声の出ない驚愕の声を上げた男を除き。
 声の招待がロングビルだと分かり、安堵の表情を浮かべたキュルケが、ロングビルが口にした言葉に首を傾げた。

「伝説のメイジの傭兵です」

 キュルケの問いに端的に答えながらもロングビルは歩みを止めない。

「お前は確か……学院長の秘書だったな。無事だったのか」

 声を掛けてきたアニエスを無視しながら前を通り過ぎると、ロングビルは座り込むコルベールの前で立ち止まった。

「……み、ミス・ロングビル?」

 目の前で立ち止まったロングビルに、訝しげな声を上げながらコルベールが顔を上げると、

「っ!!」

 襟を掴まれ強制的に立ち上がらせられ、

「何やってんだいあんたはっ!!?」
「っぐはっ??!」

 頬に勢い良く手を叩きつけられた。
 その威力は凄ましく、コルベールは吹き飛び壁に身体が叩きつけられる。
 壁の上をズルズルと滑り落ち始めたコルベールの襟首を掴み、その場に縫い止めたロングビルは、何が起きたか理解出来ず目を白黒させるコルベールにキスするかのように顔を近づけた。

「シロウに学院を頼まれたあんたが、こんなところで座り込んでんじゃないよ!」
「な! え? あの?」

 吐息が掛かる程の距離で怒鳴りつけられ混乱するコルベールを、更に壁に押し付けながらロングビルは叫ぶ。

「さっきから見てたけど一体なんだいあんたは! 自分は何にも考えず行動せずただ人が立てた作戦に文句を言うだけ!? 文句を言うだけなら子供でも出来る
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