第6話『力を求めたその先は』
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受付へと歩き出したハントの姿に、ジンベエは少しばかり呆気にとられた様子でその後姿を見送ったのだった。
そうして少しだけ固まっていたのだが、やがて小さく笑んでぼそりと呟いた。
「お前さんなら強くなれる」
その言葉はもちろんだがハントの耳には届かなかった。
さて、ジンベエさんとものすごくさわやかに分かれた俺なんだけど今、自分でも驚くくらいに居心地が悪い。
無精ひげをはやし、机を人差し指でトントンと叩く俺担当の役人のその姿に威圧されつつ、もう一度説明する。
「俺の村が魚人の海賊に支配されて……それで助けてもらいに来ました」
「いや、うん……それは聞いたけどさぁ、その村ってえーと……どこだっけ? オコノミヤキ諸島ココナツ村?」
「コノミ諸島ココヤシ村です!」
実に、目の前の男にやる気がない。
「あぁ、うんココヤシ村ねぇ……いや、わかるよ、わかる。おじさんもその村は知ってるよ、ノースブルーだろ?」
「イーストブルーです!」
明らかに何も知らないからだ。
「ああ、そうそう……んで、君はそのイーストブルーのココヤシ村から来たんだろ?」
「はい」
「どうやって?」
「……え?」
「いや、だから、どうやって?」
言葉に詰まる。
正直に言ってしまっていいのだろうか。こころなしか、その役人の目が徐々に険しくなってきている。
少しばかり迷ったが、自分に嘘をついてごまかす知能はないと判断して正直に言うことにする。
「攫われて……ここまで来ました」
「へぇ……じゃあ非加盟国なんだ。そんで、攫われて逃げてきたの?」
攫われたきたという事実にはまったく興味を示さずに、おざなりな質問。
政府って人攫いって禁止にしてたよな、この人スルーしたけどいいのか? ……というか非加盟国ってなんだろうか。子供に難しい言葉を使うんじゃないっての。
しかし……これが、海軍?
「まぁ、そんなとこです」
ベルメールさんから聞いてたのと、なんというか……違う。
「はぁ」
ふと、役人がため息を吐き出した。ただひたすら面倒そうにため息を吐き出して「坊主」とドスの聞いた声で、周囲に聞こえないようにぼそりと。
「あんまり大人をからかうんじゃねぇぞ」
「っ!?」
――なんだ、何を言ってるんだ、この人!?
役人が急に怒り出したことに驚いた。助けを求めるように周囲へと顔を――
「――キョロキョロすんじゃねぇよ」
あまりにドスの効いた声で、びっくりした。
魚人と人間の海賊に怖い目に合わされていたからすごくチンピラ感があるけど、それはさすがに言わないでおく。
「あんまし大人をなめんなよ? いまんとこイーストブルーの海軍支部からは
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