暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
SAO編
episode2 集団で戦うということ3
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カウンターの回し蹴りを叩きこむ。『体術』スキル、《ロール・スラッシュ》。俺の持つスキルでは有数の威力を誇る技だが、それでもHPバーは三割も減っていない。もともと俺の好む『体術』スキルは、他に比べて極端に威力が低い。

 流石に五匹全部相手をしていたら、時間が足りないだろう。となれば隙を突いてたおさずに扉をくぐりたいところだが、どうやら敵は特殊なAIを組まれているらしく必ず一匹が扉の前に張り付いて守っている。短剣だの片手剣装備だったらそいつだけを突進技で弾き飛ばして駆け抜けていいのだろうが、なんの武器も無い俺では流石に一撃で沈められはしないだろう。脇をすり抜ける、というのも、中ボスクラスに対して行うのは若干賭けになるしな。

 「ま、しゃーない、っと!」

 まあ、ほかに手段がいない以上、迷っても仕方ない。

 一気に勝負をかけるべく、俺は八割に制限していた敏捷値を一息で最大まで引き上げる。突然の加速についてこれなくなった四匹を置き去りに、扉を守る一体に真正面から突っ込み、

 「…ふっ!」

 最近スキルスロットに現れた、俺の奥の手たるエクストラスキル、『軽業(アクロバット)』スキルの一つ、《ファントム・ステップ》を発動する。敵の目の前で有効な防御スキルで、スキル熟練度が十分に高ければ、相手が一瞬俺を見失うスキル。

 これで、駆け抜けて、

 (ちぃっ!)

 一瞬狼剣士の目が泳いだが、見失うには至らなかった。

 脇を駆け抜ける俺をにやりと見つめ、その剣を肩より上に振りかぶられ、ソードスキルのエフェクトフラッシュを帯び、

 「ガルルッ!!?」

 飛来した紫の光の刃に砕かれた。

 『投剣』スキル、《パワフル・シュート》。

 威力を大きくブーストするそれが剣の横腹に命中したのだ。驚いて後ろをみると、はるか後方で投擲後の体制のままのレミ、そして彼女を守るソラとファー。

 (おいおい、ここまでは30メートルはあるぞ…)

 確か《パワフル・シュート》は威力をブーストするのみで、その投擲武器の描く軌道や命中精度に補正はなかったはずだ。現実世界で何をやっていればそんなコントロールが身につくのか想像がつかないが、どうやらレミはそれができるやつらしい。

 驚く俺の目線の先で、三人が笑う。
 ソラが、ぐっ、と親指を立てる。

 もちろん、俺も笑う。

 「うっ、しっ!」

 武器を失って狼狽する一匹を、追い縋ろうとする四匹を振り切って、一気に扉を駆け抜ける。

 細道の左右の壁にさっと目線を走らせ、無造作に突き出たレバーを見つけ、すぐさまガチャリと作動させる。それだけの動作で、重厚そうな音を立てて閉まろうとしていた扉が止まった。

 やったーっ! という歓声が聞こえたが、
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