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IS《インフィニット・ストラトス》‐砂色の想い‐
候補生のお仕事
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「と、言うわけで……あなたの謹慎は本日現時刻を持って解除します。いいわね」

「はい!」

 8月16日。ジャクソン社の開発局長室で母さんに言われたのは謹慎解除の命令でした。会談の際にウィンザー様が提示した条件に米国側が賛同したため福音事件が正式に無かったこと(・・・・・・)にされたからです。
 正式に無かったことと言うのも変な感じがしますが、とにかくその関係で私の謹慎は解除されました。
 赤道連合や他の国の艦隊はソロモン諸島沖に待機していて、正式演習の8月25日まで待機しています。正式と言ってもISはほぼ使われずに艦同士の『ISに対する戦術の考察』というものです。
 一般ではあの大規模なIS演習を知ることすらありません。

 あ、そういえば福音事件が無かったことになったってことはシャルロットさんもまだ男の人って扱い……ではないですよね流石に。
 うーんと、無かったことになったのは福音の暴走と『ディープ・ブルー』の一件と女性を男性と偽っていた件ですから……これ実際に得したのって米国だけじゃないでしょうか。
 私たちは既に全てのパッケージの技術を公開しましたし、シャルロットさんが男性でないというのも口に出さないだけで知れ渡りました。まあこのくらいの条件じゃないと米国は納得しないでしょうしそれも見越してのウィンザー様の発言なのでしょう。
 そのお陰で私も謹慎解かれてるんですからあまり文句は言えませんけどね。

「それで貴方にお客さんが来てるわ」

「お客さん?」

 そんな考えをしていると母さんが不意にそんなことを言ってきました。
 謹慎だったから会えなかったんでしょうけど、こんな急に?

「EUの御一行がね。国土防衛用に『スカイ・ルーラー』を使った貴方の感想を是非聞きたんだって」

「EU……ってそれ以前にそれならクロエの方が適任じゃありませんか?」

「クロエは正式演習まで『ハーバーブリッジ』に配属中よ。というよりほとんどの候補生や国家代表はそれ関係で出払ってるの。のんきに話が出来るのは今日まで謹慎だった貴方だけ」

「う……」

 て、的確なお言葉です……私は言葉に詰まってしまいます。そんな私のことを気にする様子もなく、母さんは言葉を続けます。こういう時は助かりますね。

「それに本国でも『スカイ・ルーラー』を使い潰すまで使ったのは貴方だけよ。そういう面でも話を聞きたいということだし、こっちとしては断れないわ」

「は、はあ。そうですか」

「聞かれないことは答えなくて良いわ。こっちから情報を開示することは無いし、余計なことは喋らないこと。いいわね」

「は! 了解しました!」

 母さんの言葉に私は敬礼して答えました。


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