―修学旅行 後編―
[2/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
てくれる……が、相手が悪かったようだ。
「俺と十代がバーチャル空間に入る前に、先にここに入っている者が三人いたようだったが、遊矢にエド、そして恐らくは……」
三沢が言わんとしていることは大体解ったが、三沢がそのセリフを口に出す前に、三沢と十代の姿が霞のように消えた。
「三沢! 十代!」
「案ずるな……姿が見えないだけだ」
聞いたことのある声に反応すると、この科学が支配するバーチャル空間に、不釣り合いな巫女装束を着た女――斉王美寿知が鏡の中から現れていた。
「予定が1日ばかり早まったが……まあよい。黒崎遊矢。エド・フェニックス。そなたらの誰が兄を助ける素質を持つ者なのか……デュエルしてもらうぞ!」
兄を助ける素質……? 彼女にとって兄とは俺たちが言う『斉王』のことであろうが、それを助ける素質が何故俺たちにある? そもそも助けるとは何だ?
「何だか解らないことばかりだが……お前には聞きたいことばかりある。俺が勝ったら話してもらうぞ!」
斉王美寿知の方へ、一歩踏みだしてデュエルディスクを展開する。
そしてその隣に、三沢や十代と違って消えなかったエドが並び立つ。
「それなら僕にある……それと、一人で二人とデュエルする気か?」
エドのもっともな質問に美寿知は怪しい笑みで応え、美寿知の横にまたも鏡が出現したかと思えば、本体の美寿知を反対にしただけのもう一人の美寿知が鏡から現れる。
流石はバーチャル空間、もう何が起ころうと驚くまい……分身出来るのならば、恐らくは三沢と十代の方にも同じように行っていることであろう。
三沢と十代の二人ならば心配はいらないと考え、俺はデュエルの準備を完了させる。
「せいぜい足を引っ張るなよ、遊矢」
「……そっくりそのまま返してやる」
……三沢と十代のタッグより、遥かに心配なのはこちらの方なのだが。
『デュエル!』
遊矢&エドLP8000
美寿知&美寿知(鏡)LP8000
「楽しんで勝たせてもらうぜ! 俺の先攻、ドロー!」
珍しく一番の先攻だということを俺のデュエルディスクが表示し、カードをドローする。
「俺は《ガントレット・ウォリアー》を守備表示で召喚!」
ガントレット・ウォリアー
ATK400
DEF1600
巨大なガントレットを備えた機械戦士が、その守備力を活かして守備の態勢をとった。
「カードを一枚伏せ、ターンエンド」
「私のターン、ドロー!」
左にデュエルディスクを付けた、鏡ではない元々の美寿知がカードを引く。
「私は《苦渋の選択》を発動! デッキから五枚のカードを選択し、相手が選んだ一枚を手札に加え、そのカード以外を墓地に送る……さあ、選ぶが良い」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ