第5話『その男は』
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りだ。うまくいかないはずがなかった。
そして大成功。
さすがは副船長といったところだが大成功が逆に副船長にとってのミスとなってしまった。人魚が二人。彼ら風に言うなら二匹。それが手に入った時点で副船長は帰るべきだと主張したが、まだ釣りをやってたったの一回だ。前計画なら2,3回はやる手筈だったのだからまだやれると船長と船員が言い張ることになり、何度帰還を促しても副船長の言葉は受け入れられなかった。
そして副船長抜きで始まった最後の大釣り。
最後なんだからもう用がないハントの血をぶちまけて派手に人魚を集めようという単純な計画になったわけだが、果たして切れ者のいない一味ではそれが実行された。
ハントのわき腹を銃弾でぶち抜き、それを海にほうり捨てる。
ハントの意識はなくなっていなかったが、どうせもう声を出すことはできないのだから関係なかった。
そして、寄ってきた人魚をつかまえ――
「なんだ、人魚じゃねぇなぁ」
「魚人だぜ」
「どうする、たった一匹だが」
「殺しちまおうかぁ」
彼らは味を占めてしまったのだ。
本来ならば引き返すべきところを。
引き返せばもしかしたらそれから逃げ切れたかもしれない。
だが、そんなIFはもう関係のないことだ。
なにせ彼らは逃げることを選択しなかったのだから。
だから、彼らは見つかる事になる。
魚人島最強の戦士――
「まってくだせぇ、あれはただの魚人じゃないですぜ!」
――王下七武海が一人、海侠のジンベエに。
薄れゆく生命の中、ハントは見ていた。
「――撃水」
その魚人が掌からから何かをはじき出した瞬間、海賊たちが血を撒き散らして吹きとんだ。
薄れゆく生命の中、ハントは聞いていた。
「――唐草瓦正拳」
たった二撃。たったの二撃で海賊を全壊させた。
その男の使うその技。
そう――
――魚人空手。
そしてまたハントは意識を手放すのだった。
――どうでもいいけど俺、何回意識失ってんだよ。
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