第5話『その男は』
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本来ならばどうというものでもないが数日間暗がりに閉じ込められていたハントにとってはそれも十分に眩しい光となる。
眩しすぎる光を背に、数人がハントを取り囲む。
「……おう、まだ死んじゃいねぇなぁ」
確認するような言葉。
もちろんこの声色をハントは知っている。
なにせ自分のことを散々痛めつけた男達のトップ、船長だ。知らないはずがない。
「……そう簡単にくたばってたまるか」
せめて弱っているところをみせまいと強がるハントに、一つの影がそっと腕を取って脈をとる。何度か頷き、今度はハントの体のあちこちにそっと触れる。
「大分弱っちゃいますが、これぐらいなまだ元気なもんです……釣りをするならもっと痛めつけておかないとまずいのでは?」
その男はおそらく船医なのだろう、ハントにとっては恐ろしい言葉を実に簡単に言う。船長は考えるように黙り込み、隣にいた副船長を肘でつつく。言外の問いかけに、副船長は両手を頭の後ろに置き、僅かに天井を見上げ「ん〜」と唸ってみせる。
子供っぽく見えてしまうその所作が本気で考えているかどうかわからなくさせるのだが、船医も船長も何も言わずにじっと見つめている。
「ん〜……ん〜……ん!」
副船長のどこか間抜けな唸り声が止まった。かと思えば表情は真剣なままで口を開いた。
「痛めつけるのは島についてからでいいと思う。島についてから色々と釣りの準備をして、釣りの下準備を完璧に終わらせて、釣りをする時間直前に痛めつける。その方が確実じゃない?」
「まぁ、そうですな……ここの船員は皆さん手加減が苦手のようですからな」
「ハハッ、そいつぁ褒め言葉だなぁ」
「ではこのままで放置で宜しいですか? 走ったり跳んだりは不可能でしょうが軽く動くことならできますぞ?」
「そうだな……どうせもう数時間で島につくんだ、それまで誰かに適当に見張りでもさせときゃ十分だろ」
もう数時間で島につくと聞いてハントがもともと苦しそうな表情をさらに歪めた。その表情に気付いてか、それとも気付いていないのか。船長はハントに顔を寄せて、下卑た笑みを浮かべると軽く肩に手を置く。
「さて、今の会話を聞いたとおり、お前はまたあとでボコボコにされる……爪をはがされたりするだけじゃねぇぞ。今度は骨や間接もやっちまうかもなぁ」
ハントの顔が青くなる。既に拷問のような暴力を受けているのにまたそれを、いや今度はそれ以上の暴力に晒すと宣言されているのだから当たり前といえば当たり前。
「前にもいったがお前が協力するって言うならまた扱いを良くしてやったっていいんだぜぇ? お前は見た目もわるくなけりゃ歳だって若いんだしよぉ……お前がいりゃこれから先、仕事するのも楽になりそうだからなぁ」
悪魔のような、い
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