第一部
阿修羅との戦い W
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「そこの神殺し共よ。貴様ら、コヤツを守らんのか?」
沙穂がラーフの権能によって動けなくなってしまった後、今まで空中にいたアシュラとヴァルナが地上に降りてきた。どうやら、近接で確実に殺そうというようだ。・・・それとも、宿敵たる帝釈天を弑逆したカンピオーネに対する止めは、せめて自分の手で、ということだろうか?
ラーフだけは未だに空中で権能を行使している。どうやらラーフの権能には、『権能を行使している間動けない』という制約があるようだ。
「何?自分たちが有利になった瞬間、私たちにも参加しろって?随分自分勝手なんだね。」
鈴蘭の少し苛立ったような言葉。彼女たちは今、リップルラップルの結界の中にいるのだ。この結界の中ならばラーフの権能の効果も及ばないが、その代わり、結界の広さはこれが限界だ。再構成するために一瞬でも結界を解いてしまうと、カンピオーネとアウター以外の人間がショック死してしまうだろう。
更に、この結界は、精神防御の性能に特化している。つまり、物理防御が低いのだ。いくら、アウターの中でも屈指の防御能力を持つリップルラップルと言えども、まつろわぬ神の特殊な効果の権能を防ぎ、尚且つ物理耐性も高くするということが出来なかった。
睡蓮も翔希も、持っているのは攻撃系の技ばかりであり、唯一攻防一体の権能を持つ鈴蘭がこの場を離れる事は不可能であった。
・・・逆に言えば、ラーフの権能さえどうにか出来れば、睡蓮と翔希は戦闘に参加出来るということなのだが。
「それにね、まだ勝負は付いていない。貴方たち・・・自分の宿敵を倒した沙穂ちゃんのこと、少し甘く見すぎていないかな?」
「何・・・?」
鈴蘭の挑発に、顔を強ばらせる阿修羅たち。
「沙穂ちゃんは、こんなところで死ぬような人間じゃないっていってるんだよ!」
その叫びと共に、彼女は手に隠し持っていた機械のスイッチを押し込んだ。その瞬間、目も眩むような輝きが、闇の世界を明るく照らす。
「む、コレは・・・!?」
ラーフが焦ったような声を漏らす。鈴蘭が自身の権能【無限なるもの】で作り上げた、幾つもの照明。神の権能で創られた闇の世界をも明るく照らすその光が、沙穂の自由を取り戻した。
未だ幻痛が残っていたが、それを無視して権能を行使する沙穂。
「頭を垂れよ、我は力の化身也。幾千幾万の敵を薙ぎ払い、悪を滅ぼす者也。」
「ぬ!?」
「しまった!?帝釈天の権能か!?」
阿修羅たちが慌てて止めようとするが・・・既に遅かった。
「焼き尽くせ、金剛杵!」
その聖句を唱えた瞬間・・・世界が、揺れた。
カッ・・・!!!
それは正に神の一撃。彼女の右目
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