第一部
阿修羅との戦い W
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。そうでなければ、こんな結果にはならなかったかもしれない。
「・・・まさか、これほどとは・・・・・・。」
唯一残ったアシュラ。阿修羅という神格を分裂させて残った、ただ一柱のまつろわぬ神。帝釈天に深い恨みを持つその神だけである。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」
しかし、沙穂の消耗は激しすぎた。ラーフの権能による幻痛。それで消耗した体力が多すぎる。更に、そのあとの【金剛杵】の行使。
あの権能は、威力だけ見るならば間違いなく歴代最強クラスである。しかし、その代償は余りにも酷い。まず、大半の呪力をこの一撃に持っていかれる事。そして、右目の消失。あと、威力の大きさによって、体にも深刻なダメージを受ける。
当たれば一撃必殺だが、最悪の場合、反動で死ぬ可能性すらある諸刃の剣。威力でも扱い難さでも最高レベルのジャジャ馬であった。
「さぁ・・・続きをするであります・・・!」
しかし、それくらいで止まるような少女ではないのだ。
「な・・・!」
絶句するアシュラ。今の沙穂は、体中からショートしたような火花が散り、右目が吹き飛び、更に体中から血が大量に流れている状態だ。しかし、彼女からの殺気は最初の比ではない。一瞬でも気を抜けば、その瞬間に殺されるとはっきり分かる程の苛烈さ。カンピオーネは重症を負ってからが更に厄介になるとは知っていたが、実際に見るのは初めてであった。
「これくらいで終わるはずがないでありますよね・・・?まだまだ、楽しませてもらうであります・・・!」
今の彼女には、鬼気迫るという言葉が相応しい。狂気じみていた。今にも死にそうになりながら、それでも死合を求めるその姿は、正に羅刹の君であった。
「いいだろう・・・!」
だが、アシュラも神である。たかがカンピオーネ一人に気圧される訳にはいかなかった。そもそも、この勝負は彼が吹っかけたのだ。三対一という、圧倒的に有利な状態で始めたというのに、何時の間にか逆転されていたなどという屈辱を、そのままにしておける訳がない。
「オオオオオオオオオ!!!」
「アアアアアアアアア!!!」
アシュラは、虚空からひと振りの曲剣を取り出すと共に、かのじょに向かって駆けた。彼女はそれに合わせて、居合の構えで迎え撃つ。
ザン!!!
先程までとは違い、静かな決着であった。アシュラの持っていた曲剣は砕け、腹部から血が大量に流れ落ちる。
「・・・やっぱり、強いであります・・・。」
沙穂は、右腕が切り落とされていた。そこから間欠泉のように噴出する血液。沙穂はその言葉を呟くと同時に、地面に倒れてしまった。
「沙穂ちゃん!」
鈴蘭が叫び、空間転移で彼女の元へ駆けつける。
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