第一部
阿修羅との戦い W
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から放たれた極大の光の柱は、真っ直ぐに上空で待機していたラーフへと走った。睡蓮が遮光用の結界を掛けなければ、目が潰れていたかもしれない。
その輝く柱の正体は、雷。雷でありながらも、雷速ではなく光速で迫るその攻撃を避ける術は、ラーフには存在しなかった。
「オ・・・アアアアアアアアアア!?」
瞬殺。その光が収まった空に、既にラーフは存在していなかった。欠片すら残さず、彼は焼き尽くされたのだ。中途半端な不死性しか持っていない彼では、この状態から復活する術はない。たった一度の権能の行使で、まつろわぬ神を一柱倒したということだ。
「オオオオオオオオオオオオ!!!」
だが、それに驚いている暇は阿修羅たちには無かった。その攻撃の余りの迫力と苛烈さに言葉を失っていたヴァルナは、土煙に紛れて何時の間にか近づいていた沙穂に大上段から切り裂かれたのである。
「な・・・貴様!?」
切り裂かれたヴァルナが浮かべたのは、驚愕の表情。沙穂の右目は、消滅していた。更に、体のあらゆる場所に酷い火傷が存在し、火脹れが出来ていた。自身の権能の代償である。
致命傷と言えるほどの傷を負ってなお、溢れるこの気迫。それにヴァルナは、圧倒されてしまった。
「ぐ、ああああああ!?」
呻きながらも、必死に水の権能で自身の周りに氷の壁を生み出す。同時にバックステップで後ろに下がろうとした・・・が、
「っ・・・!!!」
気合一閃。彼女は、先程と同じように、氷の壁を容易く切り裂いた。しかし、あの時と違うのは、ここが地上だということ。
「終わりであります!!!」
切り裂いた氷の切れ目に体を押し込むようにして、彼女は更に踏み込んだ。そして、カンピオーネの中でも最高と鈴蘭に称されたその身体能力を全開にして、更に跳ぶ。
「な・・・!?」
「はぁ!」
彼女が踏み込んだ地面が、爆発した。今までの動きでも彼女は本気では無かったのだ。残像が見えるほどの速度まで加速した沙穂を止めることは、ヴァルナには不可能である。
「・・・グフッ!」
交差したその一瞬のうちに、ヴァルナの体は致命的な部分まで切り裂かれていた。
まつろわぬ神は、どんな権能を持っているかや、知名度で強さが決まるわけではない。どれだけの執念を、信念を持っているかで強さが変わるのだ。決して折れない心を持っている神は、強い。しかし、権能がどれだけ優れていようと、心に油断や恐怖が有れば、途端に弱くなってしまうものなのだ。
ヴァルナ神は沙穂に恐怖を抱いてしまった。三対一という絶対的に不利な状況で、自身の権能で致命傷を負いながらも、それでも貪欲に勝利だけを追い求めるその姿に、恐怖を覚えてしまったのだ。だからこそ彼は負けた
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