暁 〜小説投稿サイト〜
くらいくらい電子の森に・・・
第十二章
[4/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
っての3秒は、僕にとっての8年!8年付き合ったに等しいというのに、君はまだその…胸も触らせてくれてないってことだよ!」
「そ、そんな欺瞞に惑わされないよ!」
欺瞞…そうだな。

僕ももう、自分が何を言ってるのかさっぱり分からないよ…

なんかこう、肩の辺りに紺野さんのスタンドがいるのを感じるよ。もうこの台詞吐いてるの、僕じゃなくて紺野さんなんじゃないか…って、本気で思い始めてる。
「柚木は言ったね、『感情の伴わない理屈なんて、誰の心にも届かない』と」
「……うん」
「なら、伝えたい気持ちに筋道なんて野暮だ!…柚木、僕の魂の屁理屈を受け止めろ!!」
「え…ぇえぇええええ!!?」
ぴりりり、ぴりりりり……
…携帯が、鳴った。
頭の中で煮えたぎってた何かが、すっと波が引くように溶けた。目の前にいるのは、ナース姿で目を潤ませて胸をかばう柚木と、鳴り続ける携帯。…それが身悶えするほど可愛くて、写メに残そうと思って構えたら威嚇されたので、素直に携帯に出る。
「…はい、姶良」
『あっさり出たわね。…お楽しみ中だと思ったのに』
――聞き覚えのある幼い声に、携帯を取り落としそうになった。
「…流迦、さん!?」
携帯を耳から放す。曇った液晶に、流迦ちゃんが大写しになっていた。
「ど、どういうこと」
『一応、言っておくけどね。こっちの病室から、丸見え』
「ぎっ…」
ぎぅぃやあぁぁああぁあと奇声を発しながら廊下を駆け抜けたい気分だった。それは柚木も同じだったらしく、顔を覆って座り込んでしまった。
「やだぁ、もう…」
ど、どこだ、どこから見てたんだ!辺りを見渡しても廊下には誰もいない。…でも窓の外には人気のない中庭があり、その向こうに隔離病棟がそびえていた。…そして彼女の病室がある4階に、小さい影が見える…気がする。
「こ…これはその…」
『ほほほほほほ柚木なにその格好!あはははぁはあはあははは!!』
「う、うるさいっ!ばかっ!」
ひとしきり大笑いすると、流迦ちゃんはふと、声を落とした。
『…今すぐ、紺野のところに戻りなさい』
「…なんで?」
『烏崎たちが、隔離病棟の受付にいる』
「奴らが…!?」
咄嗟に、柚木の携帯に目を落とした。
『どしたの?もっと先だよー』かぼすは呑気に笑う。
「座標を確認したい。彼らはここを軸にすると、どこにいることになる!?」
『んー、前に60m、右にぃ…8mくらい?』
頭の中の見取り図と照らし合わせると、受付の位置にぴったりと合致した。
「…『彼』のノーパソを、烏崎が!?」
『彼だかなんだかは知らない。ただ分かっているのは、烏崎は、私を確保するために来たということ。…会社関係者だから、受付でも警戒されないしね』
「じゃ、そっちに行かないと!」
『来てどうするの。あなたは会社関
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ