第十六話 魔法、正体
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とは些末な問題と言える。
「えええ―――!!!?」
つまり、誤魔化しなどなんの意味もなかったということだ。
アリスは驚きのあまり、誠也を抑えていた手を離してしまう。
割と長い時間口を塞がれていた誠也はすぐさまアリスから距離をとる。
「ご、ごめん。」
手を膝におき、ぜーぜーと息を荒げる誠也。どうやらしっかりと口をふさいでいたらしく、呼吸もままならない状態だったようだ。
「アリスちゃんたちが魔法使いだってことは分かってるから大丈夫だよ。」
「転移魔法の瞬間もさっき見ちゃったしね。」
つまり、最初から全て知っていたということだ。
そう聞いたアリスは、途端に恥ずかしくなったように身を縮ませる。
必死に隠そうとしていたことが恥ずかしく思えたからだ。
「……アリス。」
アリスへと目を向ける誠也の瞳には、わずかな恨みがこもっていた。
おそらく自分が無駄に窒息させかけられたことだろう。
元々相手が知っていたのだから隠す必要性は皆無だったと言える。
「だ、だからごめんってば。」
アリスの声にはわずかに弱々しさがある。
おそらく誠也を窒息させかけたことと、必死に隠そうとしたことの恥ずかしさ故にだろう。
「でも誠也だって悪いのよ。あんなことを言おうとするんだから。」
結果的には何もなかったとはいえ、本来なら誠也のようにあっさりと自分たちの正体に勘付かれるような発言は控えるのが当たり前である。
だから本来ならばアリスが責められる筋合いはない。
窒息させかけたこと以外は。
「でもなんで魔法について知っているんですか?地球には魔法文化はないと伺っていたんですが。」
誠也はアリスへの恨みの視線を引っ込めてエリとりんかの二人に問いかける。
地球に魔法文化は存在しない。
この事実は、管理局としても把握していたし、祖母から曽祖母の故郷としても聞かされていたし、地球にいる兄のような友人からも聞かされていた。
つまり管理局に全く関わりのない人物が魔法の存在を知るはずがないのである。
その問いにりんかは微笑みを浮かべて答える。
「ふふっ。高町ってことは誠也君は高町なのはさんの親戚だよね。アリスちゃんはフェイト・T・ハラオウンさんと。」
「まさかひいお婆様方と関係があるんですか!?」
誠也は驚きの声を上げる。
高町なのはは約百年前の人である。そして目の前の人は、言っていたことが正しいのなら十五歳のはずだ。どう考えても直接関係があるように思えない。
「ううん、直接は関係ないよ。ただ、高町なのはさんやフェイトさんの事を良く知っているなら――」
「月村とバニングスっていう名前に聞き覚えがないかしら?」
二人はアリスと誠也に問いかける。
ちなみに二人がクイズのような形式で問いかけているのは、待ち人が来るまでの時間を潰そうとしているからだが
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