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不可能男との約束
覚めない思い
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くまで、そして、弾を撃っているのである。
酷い言い方ではあるが、これが自分達の村ではなく武蔵に撃たれていてよかったと思ってしまう。
そうでなければ、今、目の前の武蔵野左舷側から起きているような爆発が自分たちに降りかかっていたのであろう。




ガクンと武蔵に住んでいる全住民が視界が揺れる擬音を聞く。
ステルス艦による奇襲を、武蔵は二つの事態が重なったせいで、防ぐことができなかった。
重力航行によって、各艦長権限の大半が"武蔵"に移行されており、尚且つ、自動人形はありとあらゆる情報を均等に整理するせいで、奇襲に弱いということ。
それ故に、常緑障壁は当然間に合わずに諸に武蔵野左舷一番艦と二番艦に被弾。
破壊の圧力が広がっていくのを、武蔵住民は見るのではなく、振動によって感じる。
外壁、内殻、装甲版、流体送熱管、循環系など、全てが砕かれ、空と海にぶちまけられる様を見せられ、耐ショック体勢をとっている住民全員が息を呑む。
だが、こうも思った。
もう、これ以上被害が広がる心配はない、と。
これだけでさえ、かなりのダメージがあったのだし、見切れてはいないとはいえ敵がいると理解している自分達にもう一度攻撃を放つような危険行為はしないだろうと。
故に

『英国側の第一階層アングリアから流体反応を確認! 出力照合による確認から本土防衛用術式剣・王賜剣二型(E.X.カリバーン)と確認! 皆様、耐衝撃体勢を至急に!───以上』

続く警告は絶望を無理矢理生み出させるものであった。




空に走る光は流体による光の斬撃砲弾。
スケールの大きさは、ある意味で武蔵レベルにおかしいと誰もが思った。誰も王賜剣二型の実物などを見たことがあるわけではないが、使っている人物はエリザベス。
人間と妖精のハーフではあるが、その姿かたちは人間のそれである。つまり、剣の形も人間サイズであるはずなのである。
なのに、振われた力は形状は幅二十メートル、厚み二メートルもあるブレードである。
大罪武装も含め、威力やスケールが違う能力や術式、武装は確かに、この世界にはたくさんがあるが度肝を抜かれることは確かである。
そして、最も異常なのはその長さである。
英国中心部から、武蔵まで軽く見積もっても直線距離でまだ十キロ以上はある。その長さを軽く突破して、光剣は空間を切り裂く。
そして、その光剣が行く先には砲弾がある。さっき、武蔵を狙っていた三発の砲弾の一つ。
当たらずに、武蔵野上空を通り過ぎ、つまり、英国にあわや当たるかもしれないとされた砲弾。
それを音もなく、本当に普通に斬り裂く。規模と剣の由来を考えれば当然の結果故に、そのことについては何も驚かない。
驚く事実はその後だ。
王賜剣二型について、多少の知識を知っていた浅間がぼんやりと呟く。
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