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不可能男との約束
覚めない思い
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…阿呆だと言えるような自分ではなかったのだから。
むしろ、その光を心の中で欲していて、そんな馬鹿がいて欲しいと願った可能性がいてくれたのだから。
どう足掻いても、自分にはなれないからこそ、希ったが故に、馬鹿らしいと思っても、視線がそちらに固定されたからこそ───馬鹿らしく十年待ったのだ。




成程、と相槌を打つ。
ホライゾンからしたら、実はそこまで深く理解はしていなかった。
浅間やミトツダイラがここにいたら、男の子ルールなんですよ、きっと、とか言っていたかもしれないが、いない人について言っても意味はない。
だから、ここで判断するのはホライゾンの意思である。
深く理解することはできなかったが───一つ解ったことがある。
浮かべている表情がトーリと同じ表情である。
あの、もしかしたら死んでしまうかもしれない後悔への罰の場で、彼が熱田を語った時の表情とまるっきり同じである。
まるで、何か宝物について語っているかのような表情を浮かべている。
語っていることは、昔の喧嘩という懐かしいと思うことや、恥ずかしいとかを思うのならば、知識として知っているのだが、二人が浮かべている表情は誇らしいという表情。
何ででしょう、と思う。
確かに、二人の性格や好きなもの、今までの思い出、能力を全て知っているなどという事ではないが。どうしてだろうと思う。
トーリ様は知っている限りでは基本、博愛主義で逆に彼一人を親友と言っているのが意外な感じがする。
熱田様は本気でバトル脳の御方で、基本、強い人間か、オパーイが大きい人間と武蔵の人間以外興味なしという感じである。
それにだ、お互いに微妙に思想が食い違っていると感じる気がするのである。
トーリ様はただ、歴史再現などで理不尽に人の死が起こされるのを拒否する。極端に言えば失いの否定である。
そして、熱田様は極端にはっきり言えば破壊の権化である。剣神の能力で生み出せるのは技術くらいであり、剣術も殺人術といえば更にお終いな、要は解り易い失いの肯定である。
勿論、本人は人を殺すのを良しとはしていないのだろうが……やはり、微妙に食い違うのではないかと思う。
破壊は何も生み出さないとは流石に言わないが、剣神の破壊が破壊以外を起こすのだろうかと思う。
そして、何よりも───熱田様の信念は未来に向けての疾走。その疾走を止めていたトーリ様を、どうしてそこまで誇っているのだろうか?
読み解くにはパーツが欠けていると思考し───眩暈が起きた。

「……あ」

この唐突な眠気が何かは理解している。
まだ、本調子ではない体を無理矢理にでも寝かそうとさせているだけだろう。少しの時間とはいえ、今のこの時間は自分の体を保つのに必要な時間ではないと体が判断したのだろう。
自分の意思ではない判断なので、余計に抗う
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