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『もしも門が1941年の大日本帝国に開いたら……』
第十七話
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事も起きてない。そんな事をすれば軍法会議ものである。
そして午前十一時、樹と伊丹は中央門管理前にいた。そこへやってきたのはテュカや栗山達である。
「ねぇイツキぃ。本当に駄目なのぉ?」
帆布で包装されたハルバートを見ながらロゥリィが樹に文句を言う。
「悪い。俺達の世界では刃物を持ち歩いていると法律で逮捕されるんだ。それに刀剣類は事件があったせいで余計に厳しい目があるんだ」
樹はそう言ってロゥリィを宥める。そこへ一台のトヨダ・AA型乗用車が来た。運転していたのは柳田少佐であり、柳田は運転席を降りると後部座席のドアを開かせて客人を降ろした。
「ピニャ・コ・ラーダ殿下とボーゼス・コ・パレスティー伯爵公女閣下、ハミルトン・ウノ・ロー准騎士のお三方がお忍びで同行される事になった。よろしくしてくれ」
「おい柳田。聞いてないぞ」
「あ? 言ってなかったか? それは済まんな。陸軍省と海軍省の方には客追加の連絡はしといた。それと伊豆の方にも連絡済みだ。二泊三日の臨時休暇なんだからしっかり楽しんでこい」
「あのな、このお姫様達に俺と摂津がどんな目にあったと思っている」
伊丹が文句を言うが柳田は笑って水に流せと答えてニヤニヤしている。
「それに同行にはヒルダ皇女もいるだろ?」
柳田はそう言って伊丹に一通の白封筒を渡して後は任したとばかりにその場を去った。ちなみに中身はお金であり百円があったりする。
「一気に寒くなったな……それでも少し暖かいかな」
樹達は銀座にいた。ちなみに季節は四月である。
「本当に春だな」
ヒルダはそう呟く。
「あいつらみたいに驚かないのか?」
あいつらとはロゥリィ達の事である。ロゥリィ達はあまりの変わりようにポカンとしていた。
「アルヌスの建物の時点で何かあると何となく分かっていたさ」
ヒルダはそう言うがそれでも視線はあちら此方に向いている。
「暇が出来たら色んなところを案内してやるよ」
「楽しみにしている」
「あらぁ、私もよねぇ?」
二人が話しているとロゥリィが乱入してくるように言う。
「ん? そりゃあ構わんけど」
「………」
樹の言葉にヒルダは少し悔しそうな表情をしていた。ロゥリィはそれを見てニィっと笑う。
その後、護衛の代表である駒門が、伊丹が盧溝橋事件からの猛者である事がバレて栗山が大層驚き、何故か近くにいた富田軍曹が栗山を慰める状態になった。
「取りあえず、ロゥリィ達の服を調達しましょうか。流石に何時までも陸軍の服を着ているのは……」
「それもそうか」
ロゥリィを除いたテュカ達は陸軍の九八式軍衣袴を着ている。そのため、出ているとこ
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