第三話
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「え……?」
殺されると思っていた咲夜は、何が起こってるか分からず呆気にとられていた。
「立てますか?」
「ええ……」
俊司は倒れこんでいた咲夜の手をつかみ、ゆっくりと引き上げた。
「あなた……私を殺すんじゃ……」
「これでも演技は得意なんですよ。二人とも!そろそろ出てきたらどうだ?」
俊司がそう言うと、物陰から苦笑いをした鈴仙と溜息をつく妖夢が姿を現した。てっきり革命軍のいいなりになっていたと勘違いしていた咲夜は、ますます混乱し何もしゃべれずにいた。
「まったく……いきなり何始めてるんですか、俊司さん」
「いや〜なんかしようと思った結果がこれで……」
「さすがにやり過ぎかと……すいません咲夜さん」
「いえ……でも、あなた達……」
「とりあえず、私から簡潔に説明させてもらいますね」
鈴仙は俊司がいったい何者なのか、なんのためにここに来たのか、今どういった状況に陥っているのかを簡潔に説明していった。
「そういうことだったの……ごめんなさいね、勘違いしちゃって……」
「いえ、こっちも変な演技したのが悪かったんですし……それに、慣れましたから」
「……慣れた?」
「な?二人とも?」
と言って俊司は二人を見るが、誰一人俊司と目を合わせる人はいなかった。
「ふふっ……そういうこと」
「まあ、そういうことなんです。ところで……どうしてここに?」
「お嬢様に頼まれて食料を探しに来てたのよ」
「食料ですか?」
「ええ……実は……」
咲夜はそのまま紅魔館の現状を話し始めた。
咲夜曰く、紅魔館では食料不足が深刻な問題となっていたらしい。実際のところ、紅魔館で働かせている妖精メイドは、全員偵察や攻撃に出した際にとらえられており人数的には多くはなかった。しかし、開戦から約半年が経過しており、備蓄していた食料もそろそろ底が見え始めていたとのことだった。
そこで、先日偵察に出た際に霧の湖にあった革命軍の基地が陥落したことを知り、食料を探しに来たとのことだった。
「なるほど……紅魔館も問題を抱えてたんですね」
「餓死なんてしてしまったら洒落にならないもの。まあ、パチュリー様は大丈夫ですし、お嬢様と妹様の食事も、いざとなれば身を削るつもりでしたので」
と、咲夜は笑いながらとんでもないことを言っていた。
「とはいえ……まだ何も見つかってないのよね……」
「なら、俺たちも手伝いますよ?」
「いいの?あなた達もやることがあるんじゃ……」
「このあと紅魔館に行くつもりでしたし、ちょうどいいかなと思いまして」
「じゃあ……お願いしようかしら」
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