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トロヴァトーレ
第三幕その四
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言われたくはないな」
 伯爵は怒りに満ちた声でそう返した。
「貴様は私の弟を殺した。だから私は貴様の息子を殺す。それだけだ」
「あたしのお母さんを殺してもまだ飽き足らないのかい」
「あれは天罰だ」
 伯爵はそう言い返した。
「父上は貴様の母親に天の裁きを与えられただけなのだ」
「そして今度は御前がかい」
「そうだ。私が行うのは神の裁き」
 そこには異端を忌み嫌う心もあった。そして憎い仇を討とうとする心が。恋敵であることもあった。
「貴様にもそれをくれてやる。ゆっくりとな」
「炎でかい」
「貴様はな。息子は斧だ。さっき言ったようにな」
 伯爵はまたそう言い放った。
「まずは息子の首を撥ねる。貴様の目の前で。そして」
 言葉を続ける。
「貴様を焼き殺す。神の炎で魂まで焼き尽くされるがいい」
「そうなったら御前を未来永劫恨んでやるよ!」
「好きにするがいい。私は貴様のような者を恐れはせぬ」
 伯爵は相手にしなかった。

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