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SAO編−白百合の刃−
SAO33-雪は解けて雫となる
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けです。そして不愉快を与えて苛立ちの原因を起こす駄目な奴って言われているのも当然なのですよ……。学校に行っても独り、帰る場所も独り、施設にいても皆の迷惑にかける、自分には何もない。弱虫で、泣き虫で、臆病で、運動も、勉強も、駄目、暗くて地味で何もできない。そんな自分が嫌いで消えてなくなりたいと思って施設から出て行きました。どうせ、私なんかいなくて良かったと思います。最近は私の扱いに慣れて存在も気にする必要もなくなってきましたから……いてもいなくても私には居場所なんてないです』

 ここまで言うと、結弦さんが『だから家出したの?』と聞かれる。私はコクリと頷いて話を続けた。

『……もう、我慢ができませんでした。私のどうしようもない理由で施設にいる自分が許されなかった。独りで消えていくのは怖かったですが、私がいることがどうしても許せなくて、施設から出て行きました。あの場所から遠くへ行きたい、あの場所から離れて行きたい、どこかにある遠い自分の居場所を探して行こうと思いました。そして今ここで休んでいると、私ごときに貴女は声をかけられました…………』

 そこまで言うと、結弦さんは私の頭を撫で始めて口にした。

『そっか……そんなことで頑張ったんだね』

 人の温もりに触れた私は、人前では流したことのない涙を流してしまった。

『だから、もう頑張んなくていいんだよ』

 どうして自分は泣き虫だからって、どうしてすぐに泣いてしまうのだろうと深く考えた。

『――怖い』

 答えは無意識に言葉に変え、結弦さんに告げた。

『怖いよ……怖いよぉ……っ』
 
 ―-怖かった。
 とても……怖かった。
 人が怖かった。
 私を見る目が怖かった。
 私を触れようとする手が怖かった。
 自分が好きになれなくて――――怖かった。
 幼い頃から違和感がしたのは見える人が黒く映ってしまったから。まるで大人の汚れを、子供の無邪気な悪意を見てしまったように、私はその意味もわからず知ってしまった、それが怖いものだと感じとってしまった。恐怖に囚われてしまった私はどうすればいいのかわからず、混乱して、これ以上自分が恐怖に取り込まれないように、耳を塞ぎ、身を守っていた。それが、救いの言葉、救いの手だったとしても、その逆と同じように否定してしまった。救いの手すらも黒く見えてしまう自分が怖い。怖くて、恐くて、痛くて、苦しくて、耐えられなくなって涙を流してしまう。泣くことが、唯一の救いだと思わせて心を閉ざしてしまった。
 いじめられるのは辛かったし、怖かった。当然、蹴られたり殴られたりされるのも痛かった。でも、どうすればいいのかわからないから、何もしようとしなかった。そして恐怖に耐えきれない私は、光を求めるように、闇を拒むように……あの場所から出て行
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