第三幕その一
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「やはり援軍の到着がきいたようだな」
「そうですね。そして栄光と褒美を約束しました」
「当然だな。勇者に栄光と褒美はなくてはならない」
「はい」
「私からも褒美を出すと伝えておけ。城壁に最初に登った者、最初に城内に入った者は」
「はい」
「私から最高級のワインをプレゼントする。よいな」
「わかりました」
フェルランドはそれを聞いて頷いた。
「あと城内の財宝は全て兵士達に分け与えよ」
「伯爵は宜しいのですか」
「私は財宝には興味はない」
彼はそう答えた。元々裕福な育ちであるのでそうしたことには興味が薄いこともあった。だが主な理由はそれではなかったのは言うまでもない。
「レオノーラさえ手に入ればいいのだ」
「左様ですか」
「うむ。私は他には何もいらない」
その声に熱がこもる。
「レオノーラさえいればな。他には何も必要ない」
そう言いながら城のある方に目をやった。
「あの城に彼女がいる」
「はい」
「夜明けと共に総攻撃だ。私も行く」
「伯爵もですか」
「そうだ。指揮官が先頭に立たなくてどうする。それに」
「それに」
「あの男を倒しレオノーラを手に入れるのは私の仕事だ。私以外に誰が為すというのだ」
「いえ」
フェルランドはそれを止めようとはしなかった。伯爵のその彫の深い顔が篝火に照らし出される。端整であるが何処か悪魔的に見えた。それは篝火のせいであろうか。
「明日だ。明日で全てが決まる」
彼はまた言った。
「待ち遠しいものだ。彼女を一刻も早くこの手の中に置きたい」
声にさらに熱がこもった。だがここで一人の兵士が天幕の中に入って来た。
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