第4話『魚人海賊襲来』
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うなわけだし」
「いや、それはそうだがよ。得意なことやらを知っとかねぇと売り込むときによぉ」
「まぁ……それはそうだが」
あくまで文句を言おうとする男にもう片方が肩をすくめて笑う。
「ま、こいつら一人につき最低でも10万にはなるだろ……今の俺らにしてみれば十分だ」
「ちげぇねぇ……しかし、こいつの国が世界政府非加盟国じゃなかったときのことを考えたら――」
「――今更だろうが、そういう体裁を保っときゃあバレないんだよ」
「それもそうか」
声をそろえて笑う彼らの台詞に、いまだ寝ている少年以外は背筋を振るわせた。
自分達の未来がなんとなく想像がついたのだろう。
元々、彼らは好き好んでこの船に乗ったわけではない。それはもちろん枷をはめられていることからもわかるだろうが。
彼らは攫われた。この海賊たちに。
この世にはヒューマンショップと呼ばれる場所がある。様々な場所から集められた人間たちを売りに出し、奴隷として手に入れる。そういう場所だ。
グランドラインのとある場所にあり、並大抵の者ではたどり着けないことから、ヒューマンショップ側からそれぞれの海へと仲買する形で海賊たちから商品となる人を手に入れるという手法がとられることもある。
グランドラインに入れない海賊たちはそれでも十分に金を稼げるし、ヒューマンショップ側も商品を楽に手に入れることができる。
そういうある種のラインが存在するわけだがこの船もそういったヒューマンショップに人を売る海賊船。
下卑た笑みを浮かべている男たちだったが、甲板部から「おーい、島がみえたぞ」という声が響いて立ち上がった。
「下船準備、始めるか」
「おおよ」
それを合図に、ただただ目に悲壮の涙を浮かべる檻の中の人間たちには目もくれず、男たちは動き出す。
檻の中で寝ている少年は未だに動かない。
少年は少年の知らないところでグランドラインへと入ろうとしていた。
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