第4話『魚人海賊襲来』
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で!?」
「でも、やるしかないでしょ?」
あたふたするベルメールとノジコだが、もうナミの覚悟は決まっているようだ。
静かに微笑を浮かべて首を振る。
「私が誰かに助けを求めたら……また誰かが傷つく、好きな人だって死んじゃう……そんなのもう見たくない」
ナミが目の前の墓を見つめて、目を閉じる。まるでその人のことを思い出すかのように、ぐっとなにかを堪えてまた前を向く。
「大丈夫、ハントが私達を守ってくれた……だから今度は私がみんなを助けるの!」
「ナミ」
「一人戦うって決めた、もう泣かないもん!」
立ち上がり、ベルメールとノジコを振り返る。
その大きな瞳が雫で滲む。だが、少女はそれを堪えて笑う。
「待ってて、ベルメールさん、ノジコ! ……私、戦うから!」
切り立つ崖の上。
寄せては返す波の音が変わらないリズムを刻み続ける。
水平線の向こうに広がる大きな雲が、悠然と流れていく。
まるで少女の背中を見つめるかのように。
雲ひとつない晴れ渡る空。
吹き抜ける潮風が水しぶきを運び、頬を濡らす。
実に心地よい天気。
海も荒れることなく、平和そのもの。
平和すら感じる穏やかな海のど真ん中、一つの海賊船があった。
船自体はさほどの大きさではないものの、ドクロの海賊旗をはためかせ、青の平原を進むそれは正に自由と呼ぶに相応しい。
そんな海賊船の一室、その檻の中に一人の少年がいた。
年の頃はおそらく12程度といったところだろう。ぼさぼさで短めの茶髪と黒い瞳。体には包帯が巻かれており、手には枷がはめられている。
仰向けの体勢のまま、動かない少年はともすれば死んでいるようにすら見えるが、よく見れば腹部が上下に動いていることから寝ているということが見て取れる。
檻の中には他にも数人の人間が同じように枷をはめてられているがその彼らの姿は見事にまとまりがない。
ある者は女性、長い髪とふわりと香る甘い匂い、見るからに高級そうな服に身を包んでいる。
またある者は男性、頬についた大きな傷と厳しい表情、乱雑にそろえられた髪と乱暴に着込まれている服が特徴的だ。
その他に子供であったり、老人であったりと様々な人間がいるが、性別、年齢、服装もバラバラでどういった集団なのかなかなか想像することすら難しい。
「ったく、このガキまだ寝てやがる……もうすぐローグタウンに着くっつうのに」
そんな彼らを一瞥したまま、檻を監視している男が不貞腐れたように呟いた。その隣で同じく檻を監視していた男が肩をすくめて笑う。
「そういうな。怪我をしてるが見た目は悪くない。体だって肉付きもいいし、よく引き締まっている。偶然拾ったにしちゃ結構良い値で買ってもらえそ
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