第3話『壊れる日々』
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どうやらまた本を盗んだらしい。さっきのゲンさんの声から察するにまたゲンさんのお世話にでもなったんだろう。
「欲しかったらどうして私に言わないの」
「ドジねナミは! あたしだったらもっとうまく盗んでくるのに」
自慢げに胸を張って言うノジコだが「盗むなっつーの!」というベルメールさんの拳骨に頭を抑える。
……うん、痛そうだ。
「だってベルメールさん買ってくれないんだもん」
「それくらい買ってあげるわよ、へそくりだって多少あるんだから」
それなら、俺がためている金を使えばいいんだ。その金はそもそもナミとの冒険のための資金。航海術の本を買うために使われるのならそれはそれで問題ないはずだ。
あとでソレをそっとナミに言っておこう。そう思って扉を開ける。
「で、俺はお腹減った」
「お、ネボスケのお目覚めね」
ベルメールさんの言葉にさすがにこうもやっとするものが沸くのは仕方ないだろう。
「いや、ねぼすけっていうかベルメールさんに木刀で――」
「さー、私たちもお昼にしようか!」
「……うん!」
「あたしお腹減りすぎて逆に食欲ないんだけど」
「え、あれ? ……もう結構昼過ぎてるんだけど食べてなかったの?」
「ハント待ちよ」
「あたしは先に食べようって言ったのに、ナミがどうしても譲らなくて」
「え」
ナミのほうを見つめるとナミが笑顔で「ほら、みんなで食べたいでしょ?」と言ってくれた。
実にかわい嬉しい。
舞い上がりすぎて変な言葉を作ってしまった。まぁそれくらい嬉しかったということで。
「さ! ナミ! 出来たよ! ベルメールブランドのオートクチュール」
食事が終わってほっと一息ついていたところで、ベルメールさんがI AM LION という刺繍のあるワンピースを広げた。
「おぉ! ライオンだ!」
いいな、かっこいいなあれ。むぅ、男もののシャツなら俺が欲しかった。
「いいでしょー」
「うん、かっこいい!」
思わず椅子から立ち上がってしまうほどだ。
だけどナミはそうは思わなかったらしい。
「やだ、またノジコのおさがり」
明らかに渋い顔で「前、それひまわりだった」と呟く。
やれやれ、ナミったら何を言っているのか。ジッと見つめて「うわ、ほんとだ! ナミよくわかったな!」
「ちょっとアンタうるさい!」
ノジコに怒られてしまった。
「仕方ないじゃない、ナミはあたしより二つ年下なんだから」
腰に手を当ててお姉さんとして叱るノジコだが、ナミもその辺はやはり女の子。
「私も新しい服きたい!」
「あたしのだって古着よ! あんたは妹だからあたしのが行くだけ!」
かっこいいのに。
そう思うけどさっきノジコに
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