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シャンヴリルの黒猫
14話「安価な珍味達 (1)」
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が出てきた。ぼたぼたと涎を垂らし、2人を前後で挟むように道に立つ。その数15。

 貴族に飼われているような大型犬よりふた回りも大きいオオカミが15匹も唸る様子は、女子供や一般市民が見れば腰を抜かすこと必至。

 だが、オオカミ達にとっては運が悪いことに、獲物と狙った2人の人間は、一般市民とも、普通の女ともかけ離れた力を持つ者だった。

「グレイウルフ。単体クラスE、6匹以上の群でDクラスの魔物ね」

「御説明ありがとう。物知りだな」

「6年も冒険者やってれば、知らないうちに頭に入るものよ。ちなみに、グレイウルフの舌は安価な珍味として知られているわ」

「なにそれ。俺食いたくない」

「激しく同意。意見があって良かったわ。これから料理に関しての感想は一緒になりそう」

 そしてアシュレイは前方の8匹、ユーゼリアは後方の7匹にそれぞれの得物を構える。

「それから、総じてウルフ種からはぎとれる素材は毛皮と牙。綺麗なままなら買取価格も上がるから、傷をあまり付けないでね」

「りょーかい」

「グワアァァッ!」

 1匹のグレイウルフがアシュレイに飛びかかると同時、2人が動き出した。

「……」

 アシュレイは無言のまま横に1歩。ウルフを避け、そのまま剣を斜めに振り上げ首を落とす。
 続けざまにウルフ達が飛びかかってくる。
 後ろに半歩下がり、空振ったウルフの頭を前方に蹴った。後ろに弾丸のような速さで吹っ飛んでいくグレイウルフは4匹のウルフを道連れにしていった。
 一発の蹴りで、大型犬よりだいぶ大きいオオカミが5匹も10m後方に吹っ飛ばすその様は、明らかにアシュレイを人外と思わすに容易く、ちょっと失敗だったかなとアシュレイは内心で反省した。

 難を逃れた残りの2匹は、計算外に強い獲物に向かって同時に牙を向けた。
 片方は下から強烈な蹴りをお見舞いする。人外のそれで蹴られたウルフは断末魔を上げる暇なく頭蓋を潰され、天に飛ばされた。
 もう片方は先ほど振り上げた剣の柄を勢いのまま下に叩きつける。ベシャリと嫌な音を立てて地面と熱烈な接吻を交わしたグレイウルフが、再び目を開けることはなかった。

 飛ばされていたウルフが、直に蹴られた1匹を残してうなっている。直撃は流石に内臓破裂か、と思いつつ、チラリと視線をユーゼリアに向けた。数匹のウルフに連撃され、地面を転がりながら避けている。こちらを見ている余裕はなさそうだった。

(それはそれで、拙いが…この場合は好都合か)

 一瞬で10mの距離を詰める。魔物であるグレイウルフでさえ見えない速度。人間が見たら、瞬間移動をしたようにも見えたかもしれないが、実際は走っただけである。正確には、地面を“跳
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