第一幕その一
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だ。だからこそ気をつけなければならないのだ。伯爵の御身に何かあれば一大事だ」
「はい」
「だからこそ気をしっかりとな。眠ってはいかんぞ」
「ですが夜は深いです。そして長い」
「眠いか」
「申し訳ありません」
彼はすまなそうにそう答えた。
「だが眠るわけにはいかんぞ」
「しかし」
「わかった。仕方のない奴等だ」
フェルランドはそう言って苦笑した。
「ではあの話をしようか」
「あの話」
それを聞いた兵士達が顔を上げた。
「あの話ですか」
「うむ」
フェルランドはそれに応えた。
「ガルシア様のお話をな。伯爵様の御実弟の」
「是非お願いします」
皆せがんだ。フェルランドはそれを見て満足そうに頷いた。
「わかった。では集まってくれ」
「はい」
彼等はそれに応えてフェルランドの周りに集まってきた。そして耳を傾けた。
「皆いるな」
「ええ」
一人が辺りを見回して答えた。
「ではお願いします」
「わかった。でははじめるぞ」
彼は口を開いた。そして話はじめた。
「先代の伯爵様には二人の御子がおられた。その御子達に囲まれ幸せに暮らしておられた」
「よい時代でした」
年老いた兵士がそれを聞いて呟いた。
「ああ、いい時代だったな。忠実な乳母が御子達を育てていて。あの時もそうだった。揺り篭に添い寝していた。あれは夜明けが訪れた頃だっただろうか」
「何が起こったのですか!?」
若い兵士が彼に問うた。
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