暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第二章
八話 合宿へ──変えたい“今”──
[1/13]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
まだ少し暗さを残す冷たい空気が、ミッドチルダの南地区にある少し大きめの家が立ち並ぶ住宅街の中を満たしていた。
緑が多いせいかしっとりさらさらとした肌触りのその空気は、軽く吸い込んでみると体の中を冷やしてくれるようで心地よい。そんな空気を切り裂くように、蒼い影がしっかりとコンクリート(とは正確には違うのだが近い物体)で舗装された歩道を走り抜ける。
我らが主人公、クラナ・ディリフス・タカマチである。ブルーブロンドの髪をなびかせつつ、街路樹の横を自転車ばりのスピードで走って行く。

「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ」
当然ながら、魔法で身体強化術を使いながらのランニングだ。常に魔力を消費しつつ、なおかつ体力も消費しつつと言うのは、近接格闘戦技を戦闘の中核に据えている者の常である。故に、魔力と体力の同時消費に慣れておく練習と言うのもままある物では有るのだ。
まぁとは言え、だからと言って無駄に多くの魔力を消費する事も、体に要らぬ負担を掛ける上、起こりうるかもしれぬ「有事」の際の危険も増す。当たり前ながら、消費魔力自体はしっかりとクラナ自身が制御していた。

「ふっ、ふっ、ふっ……」
[3、2、1、ゴールです。相棒]
「ふぅー……」
アルの合図を聞きつつ、息を吐いて、クラナは緩やかにスピードを落とした。

朝のジョギングは、クラナの日課である。

かなり幼いころからやっている事なので、自然と体が朝早くに目覚めてしまう。当然、毎日やっている。正直、もう少し寝ていたいと思う時もあるのだが……残念かつ不思議な事に、脳が目覚め切るより前に体が目覚めてしまっているようで、それ以上寝付けないのだ。
目の前にあるのは当然彼の自宅、高町家である。クールダウンをした後、ドアを開けて中に入る。リビングの方で少し人の動く気配がし、ついでに鼻歌が聞こえた。なのはだ。
挨拶をするか迷ったが、敢えてわざわざしに行くのもおかしいようなきがして、クラナは着替えを取りに行こうと正面の階段を目指す。と……階段の上から誰かが降りてきた。

「あ、クラナ、おはよう」
「……おはようございます」
腰まで伸びた長く明るい色の金髪を先の方で一つ結びにし、赤い瞳に微笑みを滲ませた女性。同じ特徴をクラナの妹である少女も持っているが、彼女は右目が翠だ。と言う訳で外見的特徴から判断するに……と言うか別に外見的特徴云々以前にこの家でクラナを“クラナ”と呼ぶ女性はなのはを除けば一人だけ。即ち、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンその人である。

「朝ごはんまでちょっと掛かるから、少し待っててね?」
「……はい」
一応毎日の事なので分かってはいるのだが、クラナは何となく返事をしつつ彼女の脇を通り、階段を上って行く。その中途……

「……ふぁ」
「?」
丁度フェイトの脇を通り抜けるぴ
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ