第2話『夢を描いて』
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ラをするかのような笑みだ。どこか嫌な予感がしたハントは「よし、じゃあ風呂に行くかな」と立ち上がろうとしたところでベルメールに腕をつかまれた。
「……な、なに?」
ベルメールとノジコがハントの耳に顔を寄せて、そっと小さい声で言う。
「ナミのことどう思ってんの?」
同時にハモリを見せながらの二人の言葉。
「ど、どど……どうって!?」
「あらあら、わかりやすいわねー」
「顔、真っ赤じゃない」
「ち、違う、そんなんじゃない! ほんとだぞ!」
「はいはいー」
「と、とにかく風呂に行くからな!」
まるで逃げるように駆け足で風呂場に行くハントの背中に、ベルメールとノジコが二人してため息をついたのだった。
「さて、私も寝ようかな」
すっきりした顔で寝床へ向かうノジコにベルメールが言葉を落とす。
「あんたは、いいの?」
「ん?」
「一緒に行きたいんじゃないの?」
「……」
投げかけられた言葉に、ノジコは考えるように黙り込んだ。それに苦笑して背中を抱こうとするベルメールだったが、その前にノジコがクルリと振り返った。
それは満面の笑顔。
「あたしはここでベルメールさんとのんびりしてるほうが好きかな」
「……本当に?」
ノジコは三人の子供の中で最も大人びている人間だろう。未だにヨソの子供と喧嘩したりすることもあるが、おそらくそれは単に気性の問題。感性や思考だけをみるならばナミやハントよりも成熟している。
だから、ベルメールは重ねて問いを重ねた。
ノジコは大人だから。
隠すのが上手いから。
もしかして自分を心配してここにいるといってくれてるのかもしれないから。
――だが。
もしかしたらベルメールのそれを感じたのかもしれない。
ノジコは照れくさそうに、そして本心からいう。
「ここでベルメールさんとみかん畑の世話をして、時々帰ってくるナミとハントを出迎える。アノ子達には帰る家がある、ベルメールさんとあたしが待っている……考えただけでもすごく暖かくて幸せ」
だから、と。ノジコは言葉を続ける。
「あの子達をベルメールさんと一緒に待つの……そうしたいの」
「そっか……うん、それもいいね」
ノジコの頭をくしゃりと撫でて、ベルメールが笑う。
「子供っていうのはいつの間にか成長してるんだね」
「それ、10歳の子供にいう言葉じゃないよ」
「はは、そうだね」
ベルメールが笑う。
それをみて、ノジコも笑う。
今日も今日とて、彼らは一緒に布団に入るのだった。
翌日、夕方。
「俺も一緒に行くよ、楽しそうだ」
その言葉に、ナミが「ありがとう」とハントへと抱きつき、ハントが「冒険資金ため
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