第2話『夢を描いて』
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ち時間で釣れるかもしれない。一度釣り糸を引き上げて、餌がついていることを確認してからまた釣り糸を垂らす。ナミも話があってここまで来たんだろうから、それまでノンビリと魚を釣るとしよう。
考えをまとめたハントが釣竿に集中し始める。
集中力が高まり、他の音の一切が飛ぶ。まるでまわりの音がなくなってしまったかのような錯覚に「ねぇ、ハント?」陥る瞬間に声をかけられてしまった。
「……どうしたんだ?」
ハントががっくりと肩を落として反応する。タイミング悪いことこのうえないのだが、それはきっとナミのタイミングだったのだろう。
「ハントってさ、今この村じゃ一番強いでしょ?」
「……まあ同世代の子供の中という限定をつけたらこの島で一番だと自負しているぞ!」
ハントが自慢げに、そして鼻息荒く言い、それにナミも頷いてみせる。
「それで、さ……私の夢ってあるでしょ?」
「あぁ、航海術で世界を旅して自分の世界地図を作る……だろ?」
ナミが恐る恐るといった様子で聞いてきた言葉に、ハントは普通に答える。ナミは幾分か安心したかのような顔を見せて、少しだけ笑顔に。
「うん、それで……もしよかったらなんだけど」
「うん」
「ハントにも来て欲しいな……って」
「!」
「ほら、ハントって食料の調達も出来るし、私の護衛とかも出来そうだし」
「……なるほどなぁ」
空を見上げる。
自分の将来について具体的に考えたことなどなかったからだ。
ナミがいつかこの島をでるだろうことは想像していたが、そこに自分の姿はないだろうと考えていたし、ベルメールの側を離れるという想定が頭になかったからだ。
こうやって生計をたてて、適当な嫁さんをもらって、ココヤシ村で生きていく……それはそれで楽しそうだとハントは考えていた。
空にあった自分の視線を、心配そうな表情をしているナミの姿へと移す。
どんな旅になるかは想像もつかない。だが、だからこそたしかに楽しそうにも思えた。
そこにはきっと信じられないほどの数の未知との遭遇があるだろう。隣にはナミがいて一緒に笑う。
――うん、これも楽しそうだな。
「なぁナミ」
「う、うん」
ナミが緊張した面持ちでハントの顔をジッと見つめる。
「時間くれないか?」
「え?」
断られる、賛成される。
そのどちらかと予想していたらしいナミが意外そうな表情を。
「いや、俺ずっとこの島、この村で暮らしてベルメールさんやノジコと一緒に暮らしていくもんだと勝手に考えてたからさ……なんというか少しばかり考える時間が欲しいんだよ」
「あ、そ……そうか、そうね」
「ああ、ナミもすぐに出るわけじゃないんだろ?」
「もちろん……少なくとも航海術をしっかり
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