第1話『狩人』
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来やしない。いや、そもそも今回だってまぐれのようなものだ。
いくら木製の矢尻とはいえ上手く飛ばせばしっかりと突き刺さるはずなのだ。事実、前回は突き刺さった。これは単純に技量と筋力の問題だ。ハントはそう考えている。
海兵だったベルメールに体の鍛え方を学びたいと思っているハントだが、なかなかそれを言えないでいる。
「やり方だけでも聞いてみようかな」
考えるも、すぐに否定するように首を横に振る。
ベルメールのことだ、色々と丁寧に教えてくれたり、指導してくれたりするのが目に見えているからだ。ベルメールにこれ以上苦労をかけたくないのに、身体的負担まで増加させてしまったらまったくもって意味が無い。
首をひねりながら歩いていたハントだったが、気付けばもうココヤシ村の入り口にまで差し掛かっていた。
「ま、今度さりげなく聞いてみよう」
結局考えがまとまらなかったらしい。とりあえずはベルメールにウサギを見せに行こうと走り出したときだった。
「ん?」
よくお世話になっている人物とそれに首根っこをつかまれている人物を見つけた。
「ゲンさん、またナミがなんかしたの?」
「お、ハントか」
帽子に風車をさして、口元のヒゲがダンディな男、ゲンゾウ――通称ゲンさん――がハントに気付き、言おうとして、先にナミが声を発していた。
「聞いてよ、ゲンさんったらひどいのよ! ちょっと本を盗もうとしたくらいで――」
「――こら、ナミお前まったくもって凝りとらんな!?」
ゲンゾウに怒鳴りつけて。シュンそしたナミが小さくうなだれる。
「離してよー、お金は今度払うから――」
「?」
ハントが首を傾げる。ナミがお金を払うなんて素直にいうわけがないからだ。一緒に暮らすようになって約5年。彼とてナミのことは大体わかっている。「――体で」というナミの続きの言葉に「アホなこと覚えるな!」と、ゲンゾウは大量のツバを吐き出した。ある意味では予想通りすぎるナミの言動に、ハントは小さく笑みを浮かべた。
「と、いうことだ」
ゲンゾウが渋い顔をハントに向ける。その顔はナミに向ける厳しいソレではなく、どちらかといえば優しいソレ。それは別にゲンゾウが特別にハントを気に入っているとかそういうわけではない。
ただ単にハントの顔がどこか誇らしげで、それはつまりいいことがあったんだろうと推察できたからだ。
「うん、まぁ、ナミらしいといえばらしいか」
「でしょ?」
ハントの言葉に嬉しそうに呟くナミだが、逆にゲンゾウは「らしいといわれて嬉しそうにするな」と疲れたように呟いた。だがそんな表情のゲンゾウに、ハントが楽しそうに言う、
「あ、聞いてよゲンさん。俺今日、ウサギを2羽もしとめたんだ!」
「ほ
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