第一部
阿修羅との戦い V
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
るかも知れないが、そもそも神々の世界では、騙し討ちや寝込みを襲うなど日常茶飯事である。そして、阿修羅が仏教から悪神だと断定された原因である、『自分は正しい』という思考が、彼らにこのような手段を取らせていた。
リップルラップルは、ラーフの権能を、『時間制御』・『闇の操作』・『不死殺し』のどれかだろうと予測した。しかし、コレは間違いであった。
「やられたの。難しく考えすぎたの。こんな簡単な予測を外すなんて、屈辱なの。」
どうやら結構落ち込んでいるようだ。
「ラーフの語源であるラフは、『苦しめる者』という意味なの。奴は、自分の名前の由来と、『太陽と月を食べる』という神話を融合させて、『太陽と月を隠し、闇に包む事で、苦痛を与える』という権能を持っていると推察出来るの。・・・これは、凄く厄介なの。」
ラーフの出てくる神話では、『首を撥ねられたラーフが、復讐のために太陽と月を食べる』という部分を抜き出して書き記す場合が多い。多くの宗教や神話でも重要な意味を持つ、日蝕と月蝕という現象を齎す一文だから当然なのだが、それのせいで、ラーフ自体の事は意外と知られていないのだ。
「恐らく太陽、または月が闇に覆われている間ずっと、その闇に覆われている敵に苦痛を与える権能なの。沙穂の体に傷が全くない事から、痛覚を直接操作する能力だと思われるの。防御力や精神力なんて関係ないの。常人ならショック死するような痛みを、直接与える事が出来るの。」
「・・・脳は自前だからねぇ・・・。痛覚の遮断が出来るようにはしてないんだよねぇ。痛みは、自分の体の異常を知る最高のアラームだからね。それを感じなくしちゃうと、戦闘で思わぬミスをして死んだりするからさぁ。」
『解決策は・・・・・・あるで、ありますか・・・?』
沙穂の途切れ途切れの通信に、少し考え込んだリップルラップル。しかし、数秒後には考えを纏めたのか、通信機に向けて喋りだした。
「確証はないけど、その権能が本当に『闇に包まれた者に苦痛を与える』権能なら、『闇に包まれない事』で対処が可能だと思うの。後、ラーフ自体をどうにかすること。・・・ただ、ラーフは《蛇》の神格を持っているから、不死属性も持っているの。一度や二度殺したくらいでは死なないと思うの。」
『下半身が蛇もしくは竜の魔神で、乳海攪拌の時、神々から不死の水アムリタを盗み飲んで不死となった。』
この一文が示すとおり、ラーフは《蛇》の神格と不死の属性を持っている。ただし、彼の不死属性は、《地母神》や《太陽》の神格のように完璧ではない。
神話にあるように、彼は不死になれる水であるアムリタを、ホンの少ししか飲むことが出来なかった。更に、それが体内に循環し、浸透するまでの時間も短かった。それが出来る前に、彼は太陽と月
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ