ヌシ釣り〜
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早貴〜
・・・ユイちゃんの件からしばらくが経過した。わたし達はまだアスナの家に居候していた。・・・本来ならすぐ前線に戻ろうとしたが、きっと気をつかってくれたのだろう。アスナやキリトがもうしばらく休んだ方がいいと進めてくれた。
「・・・リパル、キリトの位置は?」
『ここから東の方角にまっすぐッス』
「サンキュ」
それから少し進めば、大きな湖に糸を垂らす見慣れた後ろ姿があった。
「やってられるか・・・」
「何がやってられないの?」
「っ・・・な、なんだサキか」
「調子はどう?キリト」
「・・・全然」
わたしはスカートを正してから座る。
「そんなとこまで兄弟そっくりなんだね」
「へ・・・?」
「亮も苦手なのよ、釣り」
「あー・・・道理で誘っても渋い顔する訳だ・・・って、なんでサキがそんなこと知ってるんだ?」
「ま、色々付き合いが長いから・・・」
「へぇ・・・じゃ、サキは亮を・・・」
「それはありえないから。彼にはただの信頼関係しかないわ」
「そ、そっか」
・・・結城 早貴のままだったらフラグを立てられたのだろうか。・・・なんか嫌だな。
「それにしても、大分冷えてきたね」
「もう現実なら冬間近だからな・・・」
「この間まではまだ暖かい方だったよね」
・・・そうそう。軍はキバオウ派を追放して一掃したらしい。それからシンカーさんは軍の資材をはじまりの街の住人達と分け合うらしい・・・そんな考えに耽っていたら・・・
「釣れますか」
「きゃっ・・・」
悲鳴を上げてしまい、顔が熱くなるのを感じながら見上げると・・・釣竿を持った五十代超えであろう老人がたっていた。もしかして・・・
「NPCではありませんよ」
わたし・・・わたし達の思考を読んだのか、苦笑しながらそう答えた。
「す、すみません。まさかと思ったものですから・・・」
「いやいや、無理はない。多分私はここでは突出して最高齢でしょうからな」
失礼します、と言いながらキリトの傍らに腰を下ろし、釣りの用意をする。
「私はニシダといいます。ここでは釣り師、日本では東都高速線という会社の保安部長をしとりました。名刺が無くてすみませんな」
「あ・・・」
確か東都高速線はアーガスと提携していたネットワーク運営企業・・・じゃあ。
「俺はキリト、こっちはサキといいます。最近上の層から越してきました。・・・ニシダさんは・・・やはりSAOの回線保守の・・・」
「一応責任者ということになっとりました」
本来ログインする必要はなかったらしいが、自分の仕事を自分で確認しないと気が済まない性分だそうで・・
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