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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第55話 ハルケギニアの夏休み・昼
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水は存在していないはずですし……。

 正に、このハルケギニア世界は幻想的(ファンタジー)な世界で、俺の科学的な知識の向こう側に存在する世界の面目躍如と言うトコロですか。
 ファンタジーな世界を科学的な考証で理解しようと言う事自体が、初めからナンセンスだと言う雰囲気ですからね。

「もう、好きにして下さい」

 ここに来て、ようやく諦めた者(さとり)の境地に辿り着いた俺が、ため息交じりの言葉を吐き出した瞬間、この戦いに終止符が打たれる。
 当然のように、俺の無条件降伏にて戦は終了。タバサは、相変わらず我関せずの態度で和漢の書物に目を送るのみ。

 俺の事を信用しているのか、それとも、俺の視線が何処に向かっていても気にしないのか。
 もしくは、何処を経過したとしても、最後には自分のトコロに戻って来ると確信しているのか。

 取り敢えず……。

「平和、なんですかね」

 少し天井を仰ぎ見た後、ため息に等しい雰囲気で息を吐き出しながらそう呟く。
 夏季休暇のど真ん中の魔法学院は、世界の情勢とは関係なく、平和な時間が過ぎて行くのでした。


☆★☆★☆


「コルベール先生が、迷子の女の子を預かっている?」

 焼き上がったお好み焼きをふたつに切って、ひとつをタバサの方に。残った方をキュルケの皿に乗せてから、次のお好み焼きの準備にかかる俺。
 生地をホットプレートに敷き、トッピングに豚肉、イカ、玉子、先に炒めて有る焼きそば。そして、紅ショウガ。

 尚、豚肉は脂身の少ない赤身を準備。俺の好みはこちらの方。
 そして、その上から、残った生地をトッピングの上から薄く掛けて仕上げ。
 最後に、熱せられたホットプレートに水を掛け、フタをして水蒸気で蒸し焼き状態にする。

 この方がふわっとした焼き上がりに成りますから、俺が好きなんですよ。

 お箸を器用に使って焼き上がったお好み焼きを食べるタバサと、少し不器用な雰囲気ながらも、お箸よりは使い易いので、お好み焼き用のコテを使用するキュルケ。
 当然、タバサに関しては、コテを使う事も、更にお好み焼きを食べる事も初めてではないので、コテの使い方も知って居たのですが、矢張り細かく切り離してからはコテを使用して食べるよりもお箸を使う方が食べ易かったようです。

 慣れて仕舞えばお箸は便利ですし、元々、彼女自身が器用だったと言う事なのでしょう。

「そうなのよ。十歳ぐらいの女の子なんだけど、言葉が通じないのか、ずっと黙ったままで居るし、食事も取ろうとしないらしいのよね」

 モダンイカ豚玉焼きと言う非常に豪華な……。更に、生地自体に出汁(だし)でほのかに味を付けて有る為に、お好み焼き用のソースを使わなくとも十分に美味しいお好み焼きを口に頬張りな
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