使徒大戦
第二章
2.04
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悪をしたいところだがそうも行かない。
大人たちは大人たちで都合がある。今日シンジから得られた情報の検証と、今後の方針を子どもたち抜きである程度、意見の摺り合わせをしておきたかった。子どもたちが既にほとんどの情報を持っているとしても、やはりできるなら聞かせたくないことも多い。政治とは綺麗なものではありえないのだ。
遅めの夕食を終わり、アスカは風呂に向かった。コアから出てきてすぐに着替える前に一度、そして帰宅してすぐにもう一度シャワーを浴びているのに。女性というのはきれい好きなものなんだな、とシンジは考えていた。天然の鈍感男である。
よく思われたい相手がいるからこそ汗の匂い、体臭が気になるということもあるが、今晩アスカがわざわざ風呂に入り直したのは、もちろん胸に期するものがあるからだ。
シンジのほうにも期待が無いわけではない。アスカに想いを抱いているし、当然性欲だってある。想いが通じ合ったのだから、いずれはと思ってはいた。しかし、なにぶんまだ中学生である。まだまだ自分たちにとっては先のことだと思っていた。
「シンジ……お風呂あいたよ」
バスルームの扉が開き、ふわっと甘い香りがリビングまで漂ってくる。アスカの髪の香りだ、と思うだけでシンジは、顔面の血流が上昇するのを感じた。なんていいにおいなんだろう。
タオルを頭に巻いたまま、ひょこっと顔を出したアスカに向かってシンジはほほえみ、冷蔵庫から牛乳を取り出す。この愛しい少女は、ほっておくと必ずラッパ飲みするので、シンジがマグカップに注いであげなければならない。
「あ、ありがと」
お礼を言われるっていいなあ……と、シンジはちょっと感動を味わっていた。もちろんアスカに言われるということに意味があるわけだ。
マグカップを手に取ったアスカの姿をみて、シンジはちょっとびっくりした。いつもタオルを巻いただけのあられもない姿で出てきていたのに、今日はしっかりパジャマを身につけている。
露出度は下がっているのに、なんだかとても新鮮で、シンジは鼓動が早まるのを感じた。
「……なに見てんのよぅ」
見つめるシンジの視線に恥ずかしくなったのか、いつもの左手を腰にあてた男らしいグイ飲みではなく、両手でマグカップを持って口に含んでいる。
──うっ、可愛い……!
いつものきっぷのいいアスカももちろん大好きなのだが、今日の意外な仕草はシンジのハートをまともに打ち抜いた。男というものは好きな女の子の意外な女の子らしさに弱いものである。ここでポイントなのは「意外な」という部分である。なぜか普段から女の子らしいよりも、ふとしたときにちょっと出る仕草にドキンチョとしてしまうものなのだ。
「いや、その……」
「なあに? アタシに見惚れてたの?」
冗談交じりにアスカは言う。天然記念物級の朴念仁で
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