暁 〜小説投稿サイト〜
シャンヴリルの黒猫
Chapter.1 邂逅
7話「冒険者ギルドポルス支店 (2)」
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
所狭しと張りつけてある依頼書を見る。どうやらF系ランクの中でも半分のところで2種類に分けられているようだ。向かって左が採取、右が討伐クエストらしい。C系ランクボードからは更に護衛クエスト依頼紙が真ん中に陣取っていた。

「やっぱり、初クエストは討伐だな」

「そう? ま、私もいるから大丈夫だろうけど」

「はははは……あ」

 ま、俺の方が強いけど。

 そこでハッと思いだした。それは、俺だからこそ憂えることだ。元とはいえ、俺は現在でもその存在は『魔人の遣い魔』なのだ。つまり、分類上ではアシュレイ=ナヴュラという男は魔族である。故に、その強さは人のそれを軽く超える。
 そして、魔族と魔獣は遠いどこかで血のつながりがあるらしく、互いの存在をより鋭く察することが出来る。よって、本能のままに生きる魔獣は、その圧倒的強さに彼を襲う事をしなくなるのだ。
 血のつながりがあるせいで、人間相手では感じない実力差に気付いてしまうのである。……余程怒っていたり腹が減っていたら関係ないが。

 つまり、あまり弱いと戦う前に相手がガチガチと震えだす。だから人の中でも『弱い』Fランクなどだと戦いにもならない――

「――いや、違う!」

「どうしたの?」

「あ、ああ……何でもない」

 そうだ、どうも魔獣の下位種と会う機会がそうそうないから忘れていた。本能丸出しの脳筋どもも、あまりにも格差が広がりすぎるとその力量を読み切れないのだ。脳筋だから。

「よし、弱い奴にしよう!」

「た、確かにその方が始めは良いけど、あんまりそれを大声で言う物じゃないわ……」

 結局、報酬はF系ランクにしては高い部類に入る、2600リールの「コボルトおよびゴブリンの巣の殲滅」のクエストを受ける事となった。因みに、このクエストでたまるギルドポイントは40.また、各魔物50匹を越えた後からは足が出た分だけ別途報酬があるらしい。ギルドポイントを100貯めればFに昇格できるアッシュとしては、中々に割の良い仕事だった。

「なになに、場所は……ヘスティ森林ポルス街寄りの外層部。依頼人は近場の猟師か。これって、この紙を受付に持って行けばいいんだっけ?」

「ええ、そうよ。依頼人にはギルドが責任を持って速やかに報告するわ。私達は依頼人を通さずに、さっさとこのコボルトやらゴブリンやらを倒しに行けるって寸法。ただ、別枠に書いてある契約金の欄を忘れずに見てね。この場合は、ギルドが仲介する代わりに、事前に100リールの契約金を払わなくちゃいけないの。その分、成功した時はその契約金も倍になって帰ってくるけどね。つまり、この場合だと成功したら報酬の2600リールの他に別途で200リールがもらえるってわけ」

 ふむふむと頷
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ