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ホフマン物語
第四幕その二
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過ごしますわ」
「そうですか」
「それでは暫しのお別れですね。残念ですが」
「何処に行かれるのですか?」
「ちょっとね」
 ウィンクして答える。
「遊びにですよ」
「それでは」
「はい」
 そして客達に声をかけた。
「皆さん、今日は私の奢りです。パーティーに如何ですか」
「パーティーに」
「はい。是非おいで下さい」
 シュレーミルは上機嫌で言う。
「御客様は多い方が宜しいですから」
「それでは。マダムもどうですか」
「そうですね」
 また声をかけられたジュリエッタは少し考えてから言葉を返した。
「それでは少しだけお邪魔させて頂きますね」
「少しと言わず何時までも」
「ふふふ」
 こうして客達とジュリエッタはシュレーミルに誘われて酒屋を後にした。後にはホフマンとニクラウスだけが残った。
「行かないのか」
「今はかなり酔っているんでね」
 ホフマンはニクラウスにこう答えた。
「少し醒めてから。それでも遅くはないだろう」
「まあそうだけれどね。おや」
 彼はここで運河の方を見た。
「どうしたんだ?」
「いや、ゴンドラが一隻こちらにやって来る」
「ゴンドラが」
「ああ。見てくれ」
 見ればその通りであった。立派なゴンドラが一隻こちらにやって来る。そこには黒い髪を後ろに撫で付けた背の高い痩せた男がいた。吊り上がった目を持っており、黒い服に全身を包んでいる。ホフマンはそれを認めて嫌な顔をした。

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