暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
イエローギルド
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
がし、髪の毛を引っ張られ、レンは無理やりに顔を持ち上げられる。

「……お前は何様だ?」

持ち上げられたレンの瞳を覗き込んできた要注意プレイヤー達の首領のそれは、驚くほど冷たく、暗かった。

思わず、レンの背に冷たいものが走る。

必死に押し隠したが、表情に出たのだろうか。満足そうな表情でフェイバルはレンの髪を離す。

地面にどさっと落とされたレンは、顔だけ動かして上を見る。

フェイバルは、相変わらずくすくす笑いながら手の中で細い《針》を弄んでいる。

そう、それが原初の六人が一人、フェイバルの武器。

三番目に発見されたユニークスキル《投針(とうしん)》。

一番目は、原初の六人ヴォルティス卿の《戦神斧》。

二番目は、原初の六人ヒースクリフの《神聖剣》。

四番目が、原初の六人エンケイの《王槌(おうつい)》。

五番目が、原初の六人エクレアの《飼い馴らし(テイミング)》。

六番目が、レンの《鋼糸(ワイヤー)》。

七番目は、シゲクニの《自在剣(マルチソード)》。

八番目は、テオドラの《戦舞(バトルダンス)》。

即応性と数量に優れ、決定打に欠ける面もあるが、フェイバルの手に渡ると立派な凶器になる。

痛みに顔をしかめながら、レンは自分の膝小僧を見る。そこには、さながらハリセンボンのように針が突き刺さっていた。しかも尋常じゃない鋭い痛みからして、しっかり心意が働いているらしい。

フェイバルは、くすくす笑いながらレンを見る。

「口には気を付けた方がいいよ?レン君。でないと――」

にィーっと、その口元が歪んだ、気がした。

「長生きできないよ?」

その言葉を最後に、黄色スーツピエロはよっこらせと立ち上がると、背後に控えていた異様な集団も全く同じタイミングで動く。

それは異様な光景だった。

彼らは皆一様に表情がないのに、一部の隙もなく完璧に動作が一致しているのだ。これが異様と言わずして、何が異様と言えよう。

そしてフェイバルは手をひらひらと後ろ手に振りながら、その集団を率いて闇に消えていった。

それをただ見送っていることしかできなかったレンは、自分の意識がどんどんブラックアウトしていくのを感じていた。









──────────────────────────────────

男が笑っていた。

高らかに、さも面白そうに笑っていた。

そこは真っ白な空間。

そこに無限とも言える数のウインドウが渦を巻き、その中心に男は立っていた。

いや、浮かんでいた、と言うのが正しいかもしれない。

だってそこには地面などないのだから。底などはないのだから。

そのウインドウ群の中央で、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ