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故郷は青き星
第二十七話
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く外れていた。
 辞退者は別室に集めた上で、サングラスに黒服を着たエルシャン──マザーブレイン操作の擬体──が胸の内ポケットから取り出した短い銀色の金属棒を取り出して以下省略。
 辞退者達は嘘の記憶を植えつけられて家に送り返されるのであった。
 そして受諾者からの漏洩対策も行われる。受諾後に同調装置を使用し一人一人と面談して、その中で情報秘匿を誓約させる。その際に同調装置のログを確認すれば誓約が本物かどうかが判断出来る。そして誓約が偽りならば、辞退者と同様に記憶を削除してお帰りいただくことになるのだった。

「怖いね」
 芝山が呟く。
「断るのかい?」
 尾津が挑発するように笑顔で尋ねる。
「そんなに焚き付けないでよ」
「……簡単にはつられないんだね。兄様」
「何と呼んでも良いけど、呼びかけだけ妙に艶っぽく言うのはやめて」
「じゃあ、全部甘えるように囁いてあげるよ。ご主人様……痛っ!」
 尾津の後頭部で「パンッ!」と良い音が響いた。
「話を脱線させない……それにエロ過ぎ」
 痛みに頭を抱える尾津を見下ろしなしながら睨みつける山田。自分には無理なエロ攻勢を強める彼女に危機感と怒りを覚えていた。
「それを言うなら、梅に言ってくれ。あんなエロい身体を使って勝負に来ているんだ。こちらも──」
「エロ禁止!」
「うっ……分かった」
 本気の目をした山田に逆らうのは得策じゃないと判断した。
「あなたも、何時までもそんな格好をしてないで」
 今度は梅木を鋭く睨みつける。
「えっ?」
 いきなり自分に矛先が向いて驚く。
「早く上を着て、その胸の無駄肉を隠す」
「む、無駄肉って失礼な──」
「それを千切って焼いて食べたら、私にもバスト様の加護が宿り……」
 感情を感じられない山田のつぶやきに、うめきの背筋に冷たいものが走る。
「な、なんだか身体が冷えちゃったから、着ないと駄目ね」
 慌ててサマーカーデガンを羽織る。

「お兄ちゃん」
「は、はい!」
「前にも言ったけど私はお兄ちゃんが、この話を受けるなら。私も受けるし他の2人も同じ。全部お兄ちゃん次第」
 山田の言葉に尾津と梅木も頷いてみせる。
「お兄ちゃんはどうしたいの?」
「俺は……もしこの話を受けないで、何も知らない振りをしてDSWOを続けても、もう前のようには楽しめないと思う。だから皆と一緒にこの話を受けたい。そして今まで以上に皆と一緒に戦い続けたいと思う」
「お兄ちゃん!」
 芝山の答えを聞いた山田は彼の胸に飛び込んで抱きつく。自分達の事を大切に思ってくれている彼の言葉が嬉しかったのだ。
「ずるいぞ!」
 そう叫んだ尾津が間に山田を挟んだまま芝山の首に両腕を回すと、彼の頭を抱き寄せてその頬に自分頬をそっと寄せた。
「わ、わたしも」
 
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