フェアリィ・ダンス編〜妖精郷の剣聖〜
第四十六話 剣士という生き物
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「ん?ああ、いや、なんでもねぇよ」
「・・・そうですか」
何か言いたそうなドロシーだったが、ルシフェルが何も語らない以上問い詰めても仕方がないのでステラとソレイユに視線を戻した。そんなドロシーにお構いなしにルシフェルは昔を思い出していた。
「(そういえば、俺も“王”に暇があれば挑んでたっけな)」
過去の自分が今の自分を見たらどう思うか、考えようとしたところでやめた。過去は過去、現在は現在なのだ。ありえたかもしれないIFを考えたところでどうにもならない。
「この際だからお前を通して見極めさせてもらうとするよ・・・“強さ”とはなんなのか、をね」
ルシフェルは静かに呟いた。戦闘スタイルも違う。手に持つ武器も違う。何もかもが一致することはないが、不思議と同じような存在に思えた。かつて圧倒的な実力を誇り、自分が憧れた人物。“闇妖精の王”とソレイユを照らし合わせながらルシフェルは静かに戦いを見ることにした。
◆
シェイドがルシフェルとドロシーのもとにたどり着くのと同時にステラはソレイユに仕掛けて行った。翅の推進力を使い上段から袈裟切りを繰り出すステラの攻撃にソレイユはその刀の力に逆らわず受け止めると、そのまま刀身を滑らせて流した。それにより前のめりに倒れ込んでしまうが、翅を巧みに利用してソレイユに追撃していく。対して、ソレイユはその追撃を薄皮一枚斬るように紙一重で躱す。それでも反撃の間を与えないようにステラは連撃を繰り出していくが、ソレイユはその悉くを躱していく。
「さすがやな!」
「それはどうも」
連撃を繰り出していくステラもそれを避けるソレイユもまだまだ余裕そうであった。しかし、連撃を避け続けたソレイユに対してステラはこのままでは埒が明かにと感じたのか、一度大きく距離を取る。ここで初めて二人の間に距離ができた。
「おや、もう終わり?」
「まさか!ただ、今のままやと埒が明かん思うてな。少しばかり本気だそう思うんや」
そういって聞き慣れない単語の魔法詠唱を始めるステラ。未だ魔法知識に疎いソレイユはどんな魔法が来るかわからないので見を決め込んでいる。魔法詠唱が終わると、ステラが淡い光を身に纏った。どんな効果があるかわからないソレイユだが、すぐ悟ることになる。
淡い光を纏ったステラが構えた瞬間、その姿が消えた。ソレイユの眼をもってしてもそれは追えない速度だった。
「・・・・・・」
しかし、だからと言って捉えられない道理はない。ソレイユにはまだ≪天帝空羅≫があるのだ。常時発動中と言っても過言ではないこの技術から逃れる術はステラにはない。≪天帝空羅≫を使い、ステラの居場所を突き止めるのにかかった時間は一秒にも満たない。だが、ステラの居場所が少々意外な場所だった。ソレイユの間合いを殺
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