第百七十話 世界の中心でアイを叫んだケモノ
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げないよ」
「決してか」
「自分の敵から、自分の居場所から」
そしてであった。最後は。
「父さんの前から」
「決してか」
「そうするよ」
「ではあらためて告げよう」
ゲンドウは顔にも声にも動揺を見せずに我が子に話した。
「ヒトはアポカリュプシスからは逃れられない」
「それが父さんの考えなんだね」
「その滅びの宿命からはだ」
決してだというのだ。
「それはアカシックレコードに記された絶対の運命だからだ」
「そうだね」
「人類が戦いを挑むことは無駄なのだ」
その考えはだ。どうしても変わらない彼だった。
「だからヒトが生きていた証を」
「それを」
「生命の源をどうして次の世界に残すのか」
まさにだった。
「それこそが重要なのだ」
「そしてその為になんだね」
「ヒトは肉体を捨てて魂を一つにし」
そしてだった。
「無限の力に融合しなければならない」
「・・・・・・・・・」
誰も何も聞かない。彼の話を聞いているのだ。
「終焉を超え新しい銀河に転生するのだ」
「そしてそれがか」
「あんたの願いで」
「そうしてなんだな」
「永遠に繰り返される誕生、進化、死、新生の輪廻なのだ」
ここまで話して。あらためてシンジに告げる。
「もう一度だけ言う」
「これが最後なんだね」
「さあ、来るのだシンジ」
我が子にだ。語り掛けるのだった。
「母さんが、ユイが御前を待っている」
「答えは変わらないよ」
「そう言うのか」
「だって。同じだから」
「同じ?」
「そう、父さんは同じだよ」
シンジは父をだ。今完全に理解したのだ。180
「昔の僕とね」
「昔の御前だというのか」
「自分の意志ではどうにもならないものの存在を知って」
そうしてだというのだ。
「逃げようとしているだけじゃないか」
「それは」
「同じだよ」
父の弁明を封じて。さらに言うのだった。
「そんな父さんに」
「私は」
「世界の終わりを告げる資格なんてないんだ」
「あんた、似てるな」
ムウも言った。
「あいつにな」
「あいつ・・・・・・ラウ=ル=クルーゼか」
「誰にもな。世界を終わらせる資格なんてないんだよ」
「私はあの男でもあるのか」
「あいつはこの世を呪ってそれを目指そうとした」
それがだ。似ているとというのだ。
「あんたもこの世が憎いんだな」
「いや、私は」
「わかるさ。隠さなくてもな」
「・・・・・・・・・」
「その言葉の中身もな」
「まさかそうした言葉が出て来るとはな」
ゲンドウはもうこう言うしかできなかった。
「シンジ、御前の口からな」
「父さん・・・・・・」
「少しは成長を遂げた様だ」
ここに至ってだ。父の言葉を出したのだった。遂にだ。
「よ
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