第百七十話 世界の中心でアイを叫んだケモノ
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て生きていくことを選びました」
これがシンジの答えだった。
「それが例え辛くても悲しいことばかりだとしても」
「それでもだね」
「僕は僕ですから」
「そうだよな」
シンが彼のその言葉に頷いた。そのうえでの言葉だった。
「俺達も同じなんだよな」
「そうだね」
キラもシンに続く。
「僕達はやっぱり」
「けれど。あの人もこともね」
海は俯いて述べた。
「考えていたこともわかるわ」
「そうですわね。人は目指すものは一つでも」
風も言う。
「そのやり方の違いだけで戦うことができますから」
「だから僕は戦います」
シンジは顔をあげた。
「父さんとは違うやり方で」
「それでなのね」
「はい、そのうえで」
ミサトに応えながらの言葉だった。
「父さんの意志を継いで」
「そうしてそのうえで」
「父さんと母さんが僕に遺してくれた」
そしてだ。シンジはここでだ。
カヲルを見た。彼の前にいる彼をだ。
そのうえでだ。彼にこう告げるのだった。
「あのエヴァで」
「そうするんだね。君は」
「それが僕の選んだ未来だよ」
微笑んでだ。カヲルに話すのだった。
「僕がね」
「わかったよ」
カヲルは微笑んで彼のその考えを受け入れた。
そうして。彼にこう告げたのだ。
「僕もね」
「それでいいと言ってくれるんだね」
「僕はもうすぐ消えるけれど」
それでもだというのだ。
「それでも。君と同じ立場なら」
「それならだね」
「うん、それしかないから」
だからだというのだ。
「君が君である為にはね」
「僕は僕のままで」
「僕が君を好きな理由は」
それは。何故かというのだ。
「君が優しさの中に別のものも持っているからだよ」
「それは」
「強さだよ」
それだというのだ。
「そう、人としての強さをね」
「人としての」
「そう、人としてのね」
それがシンジの強さだというのだ。
「それが君にはあるから」
「だから」
「あの人はそれを否定しようとしていた」
ゲンドウのことに他ならない。
「けれど君は違うからね」
「強さを否定しなかった」
「最初はなかったかも知れない」
だが、それでもだというのだ。
「けれど君は最初から持っている優しさにそれを加えて」
「そして今に至るんだね」
「君は必死に努力してそれを手に入れた」
「強さを」
「その君を好きになったんだ」
微笑んでだ。シンジに話すのだった。
「僕はね」
「カヲル君・・・・・・」
「さあ、最後の最後まで戦うんだ」
こうもシンジに告げてだった。
「優しさの中に強さ、それを」
「それを持って」
「勇気をね」
「勇気?」
「優しさの中にある強さ」
それこそがだというのだ。
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