第百七十話 世界の中心でアイを叫んだケモノ
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った。
「自分が傷つく前に世界を拒絶している」
「それが私だったのだな」
「人の間にある形もなく見えないものが怖くて」
レイもゲンドウに話していく。
「そうして心を閉じるしかなかったのね」
「その報いが今か」
ゲンドウは今自省に入っていた。
「この有様か」
「駄目だ、もう!」
「この場はもたない!」
「総員退避!」
「急げ!」
「父さん!」
シンジは無意識のうちに父に声をかけた。しかしだ。
ゲンドウはその場に立ったままだった。動こうとしない。
そして我が子を見て微笑みだ。こう告げたのだった。
「すまなかったな、シンジ」
「父さん!逃げて!」
「いいのだ。私はこれでな」
「そんな、それじゃあ!」
「皆のところに帰りなさい」
その微笑みと共に我が子にまた告げる。
「そして。生きなさい」
場は崩れゲンドウはその中に消えた。そしてロンド=ベルは。
バルマー上空に出ていた。そこでだった。
「ゼーレも一人残らず死んだ」
「遺体が確認されました」
こうバランとルリアから話が来た。
「補完計画が収まり人は下の姿に戻った」
「全ては元通りです」
「そうですか」
シンジがその話を聞いて頷く。
「全ては終わったんですね」
「残念だがお父上はだ」
「あの場で。遺体は確認できませんでした」
「はい、わかりました」
死んだのはもうわかっていた。ああなっては生きても仕方がない。どちらにしても父は死んだ、シンジはそのことは誰よりもよくわかった。
「それでは」
そしてだった。シンジは言うのだった。
「父さんは僕と同じだったかも知れない」
「シンジ君」
ミサトがそのシンジの話を聴く。
「そう思うのね」
「はい、周りの世界から拒絶されるのが怖くて」
それでだというのだ。
「先に自分から心を閉じた」
「そうなるわね」
「本当は父さんも」
その彼がだというのだ。
「他人から傷つけられるのが怖くて」
「それでだったわね」
「なのに僕は父さんを」
「貴方のその選択がね」
ミサトはそのシンジに話す。
「それを決めるのはね」
「僕なんですね」
「ええ、貴方よ」
他ならぬだ。彼自身だというのだ。
「貴方以外の誰でもないわ」
「そうなんですね」
「そうよ。貴方が決めて」
「そうして」
「あの人はね」
今度は万丈が話す。
「人類補完計画によってアポカリュプシスを超えて」
「そうしてですね」
「ヒトの魂を存在させようとした」
それがだ。ゲンドウの願いだったのだ。万丈はそれは理解していた。
「けれど僕達は」
「はい」
「それを否定した」
シンジにこのことも話したのである。
「そうですね。僕は」
「君自身としてだね」
「はい、僕とし
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