第九十三話 真の龍神
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孫の言葉が変わった。
「君達だってわかっている筈だ」
「何をだ」
「何が言いたいというのだ」
ゼンガーとレーツェルが孫に問い返す。
「ここまで来て命乞いではあるまい」
「それはないな」
「安心してくれていいよ、僕はそういうことはしないさ」
それはないと。孫自身も言う。
「ただね。地球も銀河もね」
「それか」
「その話か」
「そうさ。滅びるのは時間の問題だよ」
こう話すのだった。
「それわかっているだろう?」
「だとしてもだ」
「我々は逃げはしない」
こう言う二人だった。
「貴様の様にだ」
「それはしない」
「逃げる?」
孫はその逃げるという言葉に反応を見せた。
「この僕が?」
「そうだ、地球が滅びると勝手に決めつけだ」
「敵に寝返る」
二人はこのことを指摘した。
「それの何処が逃げていない」
「何処がだ」
そしてだ。レーツェルが彼に告げた。
「どうやら御前はだ」
「むっ?」
「少しも変わっていないようだな」
「おやおや、どうやら」
レーツェルのその言葉を聞いてだ。孫はおどけたものを装って言ってきた。
「驚いたよ」
「何にだ」
「あれから随分と経ったのにね」
こうレーツェルに話すのだった。
「君の家系には僕との戦いが残っていたんだね」
「どうやらな」
「凄いことだよ。だが」
「だが?」
「その系譜も今日で途絶えるよ」
またレーツェルに告げた。
「君が僕を怒らせたからね」
「やはりな」
レーツェルは孫のその言葉を冷静に受けて述べた。
「己の過ちを認めぬか」
「まあいいさ」
しかしだった。ここでだ。
孫は真龍虎王の前から退いた。そのうえでこう言うのだった。
「今日はこれでね」
「何っ、撤退か!?」
「ここで」
「そうさ。戦力も減ったしね」
今回もだった。バルマーはその戦力を大幅に減らしていたのだった。
「ここが潮時だね、今回は」
「待て!」
「逃げるのですか孫光龍!」
「冗談はよして欲しいねえ」
「冗談?」
「何を言うんだ!ここまで来て!」
「僕は冗談も今は言わないよ」
それも否定するのだった。
「ただね」
「ただ?」
「何だというんだ!」
「僕達の決着をつける場所はここではないんだよ」
こう言うのである。
「ここではね」
「何っ!?」
「じゃあそこは」
「もっとも君達がそこまで来れるか」
それはだというのだ。
「それは関知しないけれどね」
「何処だ、そこは」
「一体」
「僕が話すことはこれで終わりだよ」
孫は話を切ってきた。
「それじゃあね」
「待て、孫光龍!」
「話はまだ!」
「悪いけれど僕が話すことはこれで終わりだよ」
こう言って取り合わない彼だった。
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